実力派“コント職人”しずる。「童貞と足立区」がネタ作りの原点
しずる、ライス、サルゴリラの芸人3組に、作家・構成作家の中村元樹を加えた7人組の演劇ユニット・メトロンズによる「副担任会議」が、4月21日から24日まで赤坂RED/THEATERで上演中だ(4月25日公演は、緊急事態宣言によって中止)。
コロナ禍によるおよそ1年間の延期を経て、晴れて公開を迎えた今作は、動画での配信やクラウドファンディングなどの試験的な取り組みも行われ、懸ける思いはひとしおだという。
前編の記事では、「ラーメン二郎出禁騒動」について直撃したが、後編となる今回は、をしずるの村上純さん(40歳・@shizzlemurakami)、池田一真さん(37歳・@Areyoutoughness)に話してもらった。
【インタビュー前編】⇒「ラーメン二郎出禁騒動」を、しずる村上が振り返る「出禁にはなっていません」
童貞をカミングアウトして怒られた
――池田さんのInstagramは、特徴的なポーズの写真が多いですよね。
池田一真(以下、池田):埼玉出身の僕は、「埼玉一の照れ屋」と言われているんですけど……。
村上純(以下、村上):誰に(笑)?
池田:食事の写真を投稿したとしても、「お前のそんなこと、誰が知りたいの?」と思われているような気がしてしまいます。SNSを通じて、世の中に自分の情報を発信することに抵抗があるというか……。なので「童貞が取りそうなポーズ」というテーマを設けて、日々投稿しているんです。僕はずっと童貞に対して「面白さ」を感じていて、世の中の童貞が好きなみなさんにも、楽しんでいただけたらなと思っています。
――統一されている印象は受けましたが、“童貞”というテーマだったんですね。最近では童貞を公言する有名人も増えてきていますが、どのように感じますか?
池田:この場合の童貞は「セックスしたことがない」ことを言っているわけで個人的には「照れていてほしいな」と感じる部分もある。僕が定義する童貞とは、「本当は童貞なのに、つい強がって童貞じゃないフリをしてしまう」ような人のことなんです。「キャビアを食べたことないのに、食べたことがある人の振る舞いをしてしまう」とかも童貞に含まれる。だから、女性でも童貞になりえますし、パートナーが出来たくらいで簡単に直るものではないんですよ。
村上:初めて出会ったころの池田もまだ童貞で、どちらかというと隠している感じがありました。そこで、舞台に立った時に「刺激的なことを言ったほうがウケるのかな」と思い、勝手にカミングアウトしてしまったんです。楽屋に戻ると、「何あれ、全然面白くないんだけど」と、ものすごい剣幕で詰め寄られました。
“足立区気質”が抜けない
――(笑)。童貞と向き合ってきて、ネタ作りに役立ったことはありますか?
池田:定期的に童貞が主役のコントを作っています。実際の程度は分かりませんが、何となく「ウケている」という認識はありますし、「童貞ネタっぽい性格のキャラクター」を愛してもらえているのかなと思います。
――村上さんには、池田さんにとっての童貞のような、ネタを作る際の根幹となるような部分はあるんですか?
村上:僕は治安が悪く、ヤンキーも多い足立区で生まれました。“足立区気質”は、なかなか覆せなくて、今でも僕の無神経で粗雑な部分が溢れ出てしまうこともありますね。ただ、社会からズレている部分が、芸人としての「面白さ」にもつながると思う。その点で言うと、「ヤンキーに怯えながら、ボーリング場で遊んだ思い出」とかも、多少は今の仕事に役立っているのかなと感じています。