20代で年収1000万円も可能。学歴が関係ない「とび職」を選んだ25歳
建築現場はもちろん、改装工事や塗装などにも欠かすことができないのが足場。職場における労働者の安全環境などを定めた労働安全衛生法によると、2メートル以上の場所で作業する場合、足場の設置が義務づけられています。
この作業は建設会社が担当することも多いですが、足場設置に特化した専門業者が行うケースも。どちらにしても高所の作業ゆえに危険が伴いますが、それを担うのがいわゆるとび職の方たち。彼らの存在がなければ建設現場のほとんどは作業を進めることができないと言われているほどです。
高収入を狙えるとび職の道へ
「ウチは母子家庭で貧しく、大学や専門学校に進学できるほどの余裕はありませんでした。学校の成績も真ん中より下だったから高校卒業後は就職しか考えておらず、母親や妹を楽にさせてあげたくて少しでもカネになる仕事をしたかったんです。別に、とび職に強い憧れがあったわけではないんです」
そう話すのは、足場工事会社で働く工藤翔太さん(仮名・25歳)。大卒サラリーマンならまだ新人扱いされる年齢ですが、彼はとび職としてキャリア8年目を迎える中堅。社内ではすでに親方と呼ばれる役職に就いており、現場では若い従業員たちを束ねる立場にあります。
「とび職だけでなく建設業界でも現場は中学や高校を出て就職する人が多いんです。途中で辞める連中も少なくないですが、真面目にずっと働いていれば20代で自分みたいに親方に出世するのは普通にあります。
それに独立して個人でやっている人もいて、そういう方も親方扱いになりますし、大きな現場だと親方の肩書きを持つ人だらけなんてことも(笑)。だから、そんなに特別なことじゃないんですよ」
資格を持っていれば食いっぱぐれない
それでも彼の会社の場合、親方は現場で部下に指示を出す一般企業で言うところの課長のようなポジション。収入で選んだ仕事だったとはいえ、工藤さんはなるべく早い時期に親方になることを目標にしていたそう。そのため、仕事に必要な資格も早いうちに取っていたといいます。
「現在は2級とび技能士をはじめ、玉掛け技能講習、足場の組立て等作業主任者技能講習、建築物等の鉄骨組立て等作業主任者技能講習、移動式クレーン運転士などの資格を持っています。
どれもとび職であれば必要なものばかりだと思いますが、逆にこれらの資格を持っていて、身体さえ動けば食いっぱぐれることはないと言われています。建設関係の現場作業員は慢性的な人出不足の状態ですし、それは自分たちとび職の業界も同じ。
最近、外国人を雇っている会社も増えているほどですし、中卒でも雇ってくれる。髪が金髪や赤だったり、タトゥーが入っていても不問のところも多く、採用のハードルはかなり低いです」