「すみません笑」叱っても語尾に“笑”を付けてくる後輩にイラッ。本人の心理は…
理由は?しつこく聞いてみると…
それ以降、黒瀬さんは、TさんがLINEなどで「笑」を使うべきでない場面で使っていると、それに対して「なぜ笑っているのか」「何が面白いのか」「笑えると思っている部分を教えてほしい」など、しつこく聞くようにしました。
「ちょっと性格が悪い感じがして嫌でしたけど、こうすることで自分がなぜ『笑』をつけるのか、本当に使っていい場面なのかをTくん自身で考えてくれると思ったんです。もしも自分がされたらキレるかもっていうくらいしつこくしたので、この頃は嫌われていたかもしれないですね」
Tさんが真面目に答えない場合は答えるまで繰り返し、LINEの返事が来なくなった場合は会社で直接聞くなど、黒瀬さんの対応は一貫していました。はじめのうちは面白半分で答えていたTさんでしたが、次第に心境の変化が訪れているのがわかったといいます。
本人の気付きで改心
毎回答えるまで理由を聞かれるTさんは、徐々にうんざりした様子になり、ついには「すみませんでした」と黒瀬さんに謝ってきたのです。そして、それ以降は不要な「笑」を使わなくなりました。
「僕の思惑通り『笑』をつける理由や、使って良いのかをきちんと考えるようになってくれたみたいなんです。考えているうちに、注意されたり叱られたりするのが怖くて自分の気持ちを紛らわすために使っていたと気づいたと言っていました」
そして、数週間後にはTさんから癖を直してくれたことへのお礼がLINEで送られてきたのです。Tさんが黒瀬さんとのエピソードを友人に話したところ、「実は昔からイラッとしていたので直ってよかった」と言われたのだそう。
「今では敬語もきちんと勉強していて頼もしくなってきました。たまに間違うこともありますが、上司からの評価も右肩上がりになっているのを感じます。僕自身も彼と関わる際にイラッとすることがなくなったので、今までよりも気持ちよく仕事を教えることができていて、全てが良い方向に進んでいる気がしています」
<TEXT/つる>