地獄のような日々を経て学んだこと

　慣れない環境に苦しんだ結果、身体に異常が……。

「あるときに終電間際まで残っていたときにトイレに立ったら、血尿が出たんです。本当に真っ茶色のヤバイ色をしていました。何もしていないのに急にじんましんが出ることもありましたし、これはもう無理かもしれないと思いつつも、辞めるという話を上司にする暇もなかったという感じでした」

　そんな中でも変化があったと言います。

「あるときに自分の中で変化があったんです。別にどう思われたっていいやって、開き直ることにしたんです。それからは、自分に足りないものを素直に上司に聞き出すこともできるようになりました。そうして自分に必要なスキルを洗い出し、少しづつ克服していくことで苦しい状況から抜け出せることができましたが、それが今から数か月前のことですかね」

　苦しい状況を切り抜けた桂さんには、色々と思うところがあるそうです。

「自分は看板に頼って楽をしてきたんだと思います。いくら大きな企業にいようとどうなるかわからない時代なので、自分には何ができるのか、市場に求められるものと照らし合わせて確認することが大事なんだと。今は意識的に自分を磨く時間を持つようにしています」

＜TEXT／和泉太郎　イラスト／パウロタスク（@paultaskart）＞