カリスマ社長が壊れていった…28歳社員が経験した職場崩壊
次々に職場を去っていく同僚たち
「それでも、実績があるので、最初のうちは自分のアイデアでも担当者が評価してくれていたりしたんですが、上の人の確認に回るといくつも修正依頼が入ったり、土台からひっくり返される様なこともありました」
そんな状態にもかかわらず社長は手を動かさない状態が続いたそうですが、なぜそうなってしまったのでしょうか?
「真相は分からず、他のスタッフたちの話からの推測ですが、社長は自分の生み出すものに自信が持てなくなってしまったのかもしれません。こだわりの強さのあまり、自信を失って仕事が手につかなくなってしまったように思いました」
仕事が回らなくなりだんだんと給料も遅配されるようになり、職場からは同僚が一人、また一人消えていったそうです。
「スタッフは数人程度の小さな会社でしたが、最後に残ったのが自分でした。まだ教えてもらいたいこともたくさんありましたし、社長が復活してくれることを信じていたのですが……」
区役所で同情されてしまう
「『これ以上給料が払えない……』と言われたのは、年末が差し迫った頃でした。しかも、自分で雇用保険の解除手続きなども行うように言われました。区役所に行って事情を話すと、神妙な顔で『それは……ご苦労さまなことでございます』と担当者に言われてひどく気を使われました」
悶々と年末年始を過ごした桂さんは、年明けから就職活動を行ったところ……。
「まだデザイナーとして一人立ち出来ていない状態だったので、なかなか次の職場は決まりませんでした。当初続けようと思っていた工業デザイナーは、募集がかなり少ない職種で、ようやく見つけて受けても全く通らないのであきらめることにしました。それで何社も受けてようやく入れたWeb系の企業に転職することになったのですが、そこで地獄を見ることになりました」
それまで培ってきた仕事のスタイルが全く通用しない日々に苦悩したと言います。
「何よりもアウトプットのスピードを求められました。今までは手間暇をかけて良いものをという職場だったので、全く真逆の環境でした。かといってスピードを重視すれば修正を何度も要求されて、上司からの辛辣な言葉を浴び続けました」