光宗薫、活動休止からボールペン画家に「万年床で1日15時間描いた」
自己嫌悪の元凶に燃料を投下
――ある意味、創作のモチベーションになったと……。
光宗:今も私にとって摂食障害は自己嫌悪の元凶みたいな存在です。その元凶を忘れ去りたいと強く思うほど絵の創作活動にとことん没頭できる自分がいます。だから目一杯まで創作のアクセルを踏み込みたい時は、意図的に少し食べ吐きして、自己嫌悪の元凶に“燃料”を投入しています。
――言い方が難しいですが、あえてネガティブな環境に自分を追い込むということですね。
光宗:この10年くらい、そういう感じのすごくネガティブなマインドだけで絵を描き続けています。ただ体に負担もかかりますし、題材や描き方とか、絵のスタイルにもっと幅を持たせるためにも、自分の一番ネガティブな感情を抽出して絵を描くやり方は変えたいと思っています。私も幸せにはなりたいと思っているので(笑)。
クッションを潰した万年床のアトリエ
――ご自身のネガティブな感情を絵で表現することに不安はありませんでしたか。
光宗:2013年に「スーパー劣等生」という、初の個展をやらせてもらいました。生まれて初めて絵という表現方法で私の“本音”をさらけ出した瞬間です。とはいえ、鑑賞する側の人に思いのすべてが伝わるわけではありません。
でも、伝わらないことが逆にフィルターになったというか、とても他人には言えないネガティブな感情を込めて絵を描いているのに褒めてもらえることもある。こんなことがあるんだと嬉しくて驚いたと同時に、また個展は絶対やりたいと思いました。
――創作活動はアトリエで?
光宗:今は自宅でやっていますが、物欲がないので室内に物が全然ありません。テレビも置いてないですし、ちゃんとしたベッドもなくて。だからクッションを潰したような万年床で毎日寝起きしながら描いています。
――気分転換したい時はどうするのですか。
光宗:気分転換にも興味がなくて(笑)。今のところ、絵を描くこと以外でやりたいと思えることがありません。映画を観たり音楽を聴くのも年に数回程度しかありませんし。だけど2日間絵が描けなくなるとしんどくなっちゃいます。やっぱり絵の創作に集中している時間が、現実のいろいろなことを忘れられる時間なんだと思います。