会員費「親から借りた」大学生の後悔

　地方の大学に通う現役の大学生Fさん（21歳）は、2020年5～11月の期間、オンラインサロンに加入していた。投資金額は約7万円。大学生にとっては決して安くない金額だが、「親に借金しました」という。

「オンラインサロンに入れば、いろいろ学べると思い、父にもサロンの中身を見せたうえでお金を借りました。ただ、父はもともと半信半疑だったようで、少し前に『いつまで続けるんだ』と言われました。コロナで大学にも行けず、何もしないのはやばいと思っていたんです。そんなとき、友達に『ここいいんじゃない』とMUPを紹介されました」

　しかし、その内容は、大学生の目から見てもかなり浅かったという。「授業の内容がそこらの本に書いてあることと同じ。『投資のプロが語る』とうたっていても、税金のルールや、投資の基本的なしくみしか教えてくれませんでした」と、Fさんは語る。

　そもそもオンラインサロンの主な活動は1週間に受講できる「YouTube授業」と「ライブ」。YouTube授業では、お金、投資、インスタの活用方法など竹花氏が過去に配信した授業を観ることができ、もうひとつのライブでは毎週木曜夜に竹花氏自ら出演する約1時間のライブ配信を、サロン会員限定のアプリで視聴・参加できる。

「最初は勉強になると思っていましたが、しばらくすると授業の内容が、他の人が書いた、私の持っている本とほぼ同じだと気づきました。また、ライブはおおよそ1時間なので、最初の30分は質問コーナーですが、いつも決まった答えやすい質問ばかりを選んでいました。Google時代の話や、踏み込んだ質問は決まってスルーしていました」（Kさん）

セブンイレブンに行ってアイスを買え！

　3人目に話を聞いた、大手企業のグループ会社でサラリーマンとして働いている元サロン会員のAさん（男性・23歳）も、加入のきっかけについて「コロナで勤め先が大打撃を受けてしまい、危機感があった」と語る。

「何か自分も動かないといけない、長期的な目線で資産やスキルを積み立てる必要があると思い、MUPに入りました。副業や独立も視野に入れていたのですが、まさかこんなことになるとは思っていませんでした。もともと個人でYouTube配信をやっていたこともあり、元GoogleならSEOやアルゴリズム対策にも詳しいと思っていました。ただ、それは会員費を10万円以上払わないと見られない仕様になっていました」

動画は下にいくほど視聴にお金がかかる。人気の動画が突然、課金しないと見られなくなることも

　竹花氏の授業の特徴について、元サロンメンバーたちは、一様にこう語る。

「YouTubサムネイルを見てもらえればわかると思いますが、【貧乏なのは全部お前のせい】【大リストラ時代の到来】など、内容は不安を煽るものが多い。通勤電車やルーティーン的な仕事をしているサラリーマンを徹底的に否定する一方、新しい提案があるかと思えば、『朝、いきなりセブンイレブンに走っていって、アイスを買うことを続ければ、そこに付加価値が生まれる』という荒唐無稽な内容でした」（Aさん）

「他のオンラインサロンの悪口はよく言っていました。とくに経営者の鴨頭嘉人さん、ホリエモン、中田敦彦さん、西野亮廣さんですね。『そこらの安いサロンで小さい知識をつけるなら、うちのオンラインサロンに入ったほうがいい。あんなの糞だよ』みたいな。ただ、僕も含めてみんな、竹花さんが有名人やインフルエンサーをこき下ろすのを見て、優越感に浸っていたのだと思います」（Kさん）