元サッカー日本代表・巻誠一郎、引退後は実業家に。今も心に残る「オシム氏の言葉」
ヘディングやハードワークを武器にジェフ市原(当時)や日本代表の一員としても活躍した巻誠一郎さん(40歳)。タレントや経営者としてのセカンドキャリアを過ごしており、今夏に巻さんの出身地でもある熊本を襲った豪雨では、復興支援活動に尽力。
今回は巻さんが過ごした激動の2020年と現役時代のエピソードについて語ってもらいました。
故郷熊本で引退試合を実施
2018年シーズン限りで現役生活に別れを告げた巻さん。2020年1月に生まれ育った熊本県にある「えがお健康スタジアム」で引退試合を開催。その後はタレントやビジネスマンなど、多岐に渡って活躍している。
「サッカー選手だった頃から、さまざまなものに興味に持ち、触れてきたつもりでいましたが、引退後に気づいたのは視野が狭い自分の姿。なので、引退した後に『もう少し外の社会を見たい』という気持ちが芽生えたんです。今はサッカーの勉強も続けて、いろいろな事業に携わりながら、さまざまなチャレンジをさせていただいています」
ミニトマトの栽培を通じた障害者の就労支援や、デイサービスなどの福祉関連事業など、10件程度のプロジェクトに携わっている。社会問題に関心を持ったきっかけは、2016年に発生した熊本地震での被災者支援の経験だったという。
2020年は新型コロナウイルスが蔓延するなか、熊本県が豪雨に見舞われた。球磨川の氾濫により、流域は甚大な被害を及ぼしたが、SNSでの呼びかけで集めた支援物資を届け、およそ1500万円の基金を集めて復興に尽力。
「自分がアスリートとして歩んできた価値を、どうすれば最大化できるかを考え、必死で向き合う1年でした」と、今年を振り返る。
ビジネスにも役立ったオシム監督の言葉
「チームのマネージメントや個人を成長させるプロセスなど、サッカーと企業は似ている部分がある」と語る巻さん。その根底にあるのは、かつてジェフ市原(当時)の指揮官だったイビチャ・オシム監督の教えだという。
「オシム監督は『スタジアムに足を運んでくれた人が喜んでもらえる』ことに重きを置いて、魅力のあるサッカー作りをしていました。あまりお金ばかりを追いかけすぎてしまうと、本質が見えなくなってしまいます。個人が成長する過程があって、結果として自然と結果がついてくるような形が理想ですよね。
多くの人を巻き込んで、プロジェクトを実現していく。僕が得意としている部分でもありますし、今後も関わってくださる方ときちんと向かい合いながら形にしていきたいと思います」