視力1.0の「繊細さん=HSP」があえて近眼用メガネをかける理由
今、「繊細さん」と呼ばれる人を扱った関連本が売れている。長年、多くの日本人が繊細さから生きづらさを感じていた原因が「HSP」という気質だと判明したのだ。繊細すぎては生きづらい世の中で編み出した「繊細さとの折り合いのつけ方」を当事者たちに聞いてみた。
※HSP(Highly Sensitive Person)…「ハイリー・センシティブ・パーソン」の略。感覚から得た情報を処理する神経が敏感で、刺激や他人の感情に過敏に反応する特性を持つ人を指す言葉として話題に。’96年、アメリカの心理学者、エイレン・N・アーロン氏が提唱したことで認知された。
意図せず相手の感情や本音を読み取れてしまう
「見ようと思わなくても他人の表情や態度を視界の隅で勝手にキャッチしてしまって、こちらのメンタルまで揺さぶられるんですよ。向かいの席の同僚がイライラしていると僕まで落ち着かなくなるし、居酒屋の隣席でちょっとした言い合いなんかが始まると、食事そっちのけで逃げたくなるんです」
そう語るのは沖口康弘さん(仮名・35歳)。意図せず相手の感情や本音を読み取れてしまい、苦しむHSP当事者は多い。
他人を視界に入れないためにどうすべきか悩みに悩んだ沖口さんが試みたのは、「度の合わないメガネをかける」という極めて荒々しい手段だった。
度の合わないメガネで表情を遮断
「視力は1.0と悪くないんですが、近眼用のメガネをかければ2m先でもぼやける。たまに気持ち悪くなることもありますが、相手の感情を意図せずキャッチして苦しむよりはマシです。あと、メガネをかけていると他人との間にレンズ1枚の隔たりができるので、心が結構ラクになるんですよ。コロナ対策で各所に設けられたアクリル板も、あれで他人との距離が保てて生きやすくなったと感じているHSPは多いと思います」
メガネをかけることによるメリットはなにかと多いようだが、視界不良で事故に遭わないよう気をつけてほしいものだ。