250万人が視聴。初の無観客「東京ガールズコレクション」をチーフPに聞く
新型コロナの影響で、アーティストによるライブコンサートや大型の音楽フェスが次々と中止に追い込まれている。ライブ・エンタテインメント業界は「人が集まってこそビジネスが成立する」わけであり、チケット収入が見込めなくなったイベント事業者は軒並み苦戦を強いられている。
10代、20代の女性から人気を集めるファッションイベント「東京ガールズコレクション」(以下、TGC)もまた、無観客開催を余儀なくされるなど、新型コロナによって新たな局面を迎えている。
同イベントを企画・制作する株式会社W TOKYOの執行役員兼東京ガールズコレクション実行委員会チーフプロデューサーの池田友紀子氏に、これからのファッションショーのあり方やデジタル技術を生かした演出の強化について聞いた。
想定外の無観客開催をどう乗り越えた?
「日本のガールズカルチャーを世界へ」をテーマに2005年から年2回開催しているTGC。毎回さまざまな人気のモデルや芸能人、アーティストらが一堂に介し、国内最大規模のファッションの祭典として知られている。
しかし、今年で記念すべき30回目のアニバーサリーを迎えるはずが、同時期に新型コロナ感染拡大が加速。2月の代々木第一体育館と、9月のさいたまスーパーアリーナともに無観客で、オンライン開催にせざるを得ない状況に立たされた。
「1度のイベントに3億円を投資する」と言われるTGCだからこそ、経済的損失は相当なもの。池田氏は「コストを見直しながら、赤字幅を減らすことに注力した」と話す。
「今年2月の『第30回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2020 SPRING/SUMMER』は開催3日前に急遽オンラインに変更したため、すでにイベントの仕様や会場レイアウトが決まったものをキャンセルしなくてはならなかった。施設利用費や設営費、その他諸費用など相当な経済的損失でしたね……」
視聴者がいつ見ても楽しめる演出に
この教訓を生かし、9月5日に開催された「第31回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2020 AUTUMN/WINTER ONLINE」では、リアル・オンラインどちらも開催できるよう準備を進め、赤字幅を最小限に抑えたという。
「コロナの感染状況を鑑みながら、先手を打って開催約1か月前にオンライン配信に切り替えたことで、オンライン開催の準備も余裕を持って行うことができました。無観客を想定したコンテンツやスマホの縦動画で見たときの臨場感、モデルの表情が伝わるようなカメラワークも工夫しました。また、リアルでの開催時も意識していた『飽きさせない演出』に、オンライン配信でもこだわりました。ランウェイ終わりのモデルにインタビューする企画や楽屋訪問など、テレビ番組さながらのような演出を心がけ、視聴者がいつ見ても楽しめる企画を考えました」