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「幽霊や生き霊が見える」29歳吉本芸人が“マイナスをプラス”にできた訳

暮らし

誇示しなくても「誰かが気づいてくれる」

はやとも

 シークエンスは霊感について、あくまで聞かれれば答えるというスタンスを取ってきた。芸能界では、ガツガツと前に出て行かなければ埋もれてしまうイメージがある。なぜ、特殊能力を誇示しなかったのか。

「なんでですかね……。できることの限度があるからだと思います。心霊に関するオファーをたくさん頂くようになると、テレビのスタッフの“霊感”に対する考え方が何となくわかってきたんです。例えば、『昨日の俺の夕食、何かわかる?』と聞かれても、当てられません。超能力と霊感は違いますからね。自分から売り込んだら、『壁の向こうにいる人を当てなさい』とか恐ろしい無茶を強要されると思ったんです

 心霊をネタにすれば色が付く。言葉を聞いただけ遮断する人もいるだろう。そんな状況を客観的に把握し、独自のポジションを築きつつある。

幽霊に興味ない人もたくさんいますし、考え方は人それぞれで当然です。一方で、『幽霊って本当にいるのかな?』と半信半疑の人も大勢いる。その人たちに、僕の話が響くなら嬉しいです。それに、お笑い芸人として普通にネタで勝負できて初めて、心霊話が生きてくる。そのことを忘れてはいけないと思っています」

 自ら声高にアピールしなくても、能力さえあれば誰かが気づいてくれる。他人の助言に素直に耳を傾けながらも、無理なことはきちんと伝える。そんなバランス感覚を持った男は、20代前半から中盤にかけて、本業で試行錯誤を繰り返していた。その必死さがあったからこそ、29歳になった今、強みが何倍もの力を持ち、花が開き始めたのである。

<取材・文/岡野誠 撮影/夛留見 彩>

【シークエンスはやとも】
1991年7月8日生まれ、東京都出身。書籍『ヤバい生き霊』(光文社)発売中。「霊慣れしている僕でも入居をやめた恐怖の事故物件」「あなたの部屋に幽霊がいるかどうか確認する方法」などの話を収録。YouTubeチャンネル「シークエンスはやともチャンネル〜1人で見えるもん。〜」は登録者数7万人超え(2020年9月末時点)

ライター・芸能研究家。本人へのインタビューや関係者への取材、膨大な資料で構成する著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)は3刷に。ジャニー氏と田原がレコーディング時に歌詞について意見を戦わせた逸話も綴っている

ヤバい生き霊

ヤバい生き霊

「幽霊や生き霊が見える」という特殊な能力が話題を呼んでいる、吉本興業所属のピン芸人・シークエンスはやともの心霊エッセイ集

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