「幽霊や生き霊が見える」29歳吉本芸人が“マイナスをプラス”にできた訳
心霊は「時代に合わない」と感じていた
大学卒業後の2014年4月、吉本総合芸能学院(NSC)東京校に入学すると、「3時のヒロイン」かなで、「しんぼる(現・ぼる塾)」など約500人が在籍していた。他人との差別化が重要な芸能界において、心霊体験は大きな武器になるはずだ。しかし、当初はネタにしていなかったという。
「(一般的なスタイルの)漫談やコント、ものまねなどをしていました。下ネタもガンガン言っていましたね。お笑い芸人は、自分の中で最高のネタをしても、客がウケなければ食っていけない。売れている先輩は、本人も面白いと思って披露しているし、それを聞いたお客さんも笑っている。つまり、自分と他人の“笑いの感性”の中間地点を見つけている。僕にとって、それが何かを必死に探していました。まさか、心霊がお笑いに繋がるとは思っていませんでした。その話題が、もう時代に合わないとも感じていました」
心霊をネタにせずとも、シークエンスはライブで結果を残していた。NSC卒業から3か月ほど経った時、ある公演のエンディングで盛り上がりが欠けた。醒めた空気を感じた同期が「コイツ、幽霊が見えるんですよ」と話題を振る。霊視を始めると、会場から驚きの声が上がった。
「ホンマでっか!? に差し込めたぞ!」
「その時に司会をしていたダイタクの吉本大さんが『女性自身』の編集者を紹介してくださり、2016年から『ポップな心霊論』という連載が始まったんです」
プロフィールに心霊連載が加わったことで、テレビ番組のオーディションに行くと、興味を持たれ始めた。なかでも、フジテレビのディレクターはすぐにLINEの交換を求めてきたという。
「去年初めてお会いすると、1か月に4、5回くらい飲みに誘ってくれたんです。毎回、初対面の人を連れてきてくれて、僕が霊視をしていました。それが1年ほど続いた今年の初め、『ホンマでっか!? に差し込めたぞ!』と言われたんです。今思えば、テレビで使えるか試していたのだと思います」