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『カネ恋』松岡茉優の“15年の片想い”は浪費か、投資か

暮らし

投資される前の清らかな想いがあふれる

『カネ恋』第2話は「投資」というテーマが外枠を固めているのだけど、その内実は「投資するか/しないか」、あるいは「告白するか/しないか」というわかりやすい物語には集約されず、“その前で立ち止まる人たち”の清らかな想いがあふれる展開になっていく

 例えばみんなで行ったテニスコンペで、まりあが用意していたサンドウィッチ。例えばイルカのモチーフが好きなまりあに渡そうとして慶太が買ったブレスレット。例えば「僕が半分買い取るんで、一緒にイートインで食べませんか」と玲子に伝える純。例えば慶太が玲子のために自作した小皿……。

 なかには相手に届かないものもある。相手を想って作ったり買ったりしたものが、その向かうべき場所にはたどり着かない。そうするともちろん相手からの見返りもないし、感謝もされないだろう。

折り返し地点に差し掛かった2人の関係

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※イメージです

 でも実際、「お金の投資」ほど単純ではないこの「想いの蓄積」に、リターンを求めること自体がナンセンスなんではないかと、『カネ恋』を観ていると気づかされる。

 恋や相手を想うことには投資になる前の純粋さがあり、それは決してリターンを求めて放たれるものではないからだ。相手を想う気持ちはもっと複雑で、もっと尊い。山鹿に対しておそらく婚約を破棄する決断をしたのだろうまりあの、そこに至るまでの詳細な描写がそのことを力強く伝えていた。

 そうは言いつつ、第2話のラストでは早乙女が玲子を初めて食事に誘うという急展開があった。しかし早乙女には息子の存在もちらつきはじめ……。全4話構成ということで早くも折り返し地点に差し掛かった『カネ恋』。玲子と慶太の「水と油の関係性」の変化からも目が離せない。

<TEXT/原航平>

ライター/編集者。1995年、兵庫県生まれ。『BRUTUS』『クイックジャパン』などで、主に映画やお笑いについてのインタビュー記事を執筆。独立系カルチャー雑誌『VACANCES バカンス』編集発行人。Twitter:@shimauma_aoi

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