セガ、20年ぶり「プリクラ市場」に再参入。なぜ今なのか、開発者に聞いた
求められるのはハイクオリティな“他撮り”
また、スマホの自撮りも定着している時代であるにも関わらず、プリクラが選ばれる理由として「他撮り」もキーワードだとか。
「初代をリリースした当時は、純粋にゲームセンターで『気軽に写真が撮れる』という新しさがありましたが、現代の子たちは自撮りに慣れているため、写真撮影についてのノウハウを、自分なりに身につけている。
プリクラ機は、そのスキルを活かしながら照明を始めとするプロ仕様の環境や機材で『ミニ撮影スタジオ』のように使える『他撮り』のツール。スマホでの自撮りなどとは異なる需要があります」(宮中)
初代「プリント倶楽部」のリリースで一大ムーブメントの先駆けとなった過去がありつつも、再参入では「さまざまな苦労もあった」と有川さんは話します。
社内では「今さら売れない」という声も
「20年ぶりの参入にあたっては、過去の実績があるものの撤退以降のユーザーやその嗜好の動向などデータの蓄積がなかったのは大きな課題でした。女子高生をねらったアミューズメント機器を作ること自体のハードルも高く、プロダクト研究開発部の主導でほぼゼロから作り上げることになり、完成までには数年かかりました」(有川)
しかし実は、ある“幸運”もあったとか。
「幸いだったのは、社内に初代『プリント倶楽部』を手がけた人間が残っていたことです。当時を知る者から機器自体の開発ノウハウを地道に聞き出しました。ただ、それでも社内では再参入に対して『今さら市場へ飛び込んでも売れるわけがない』という反発の声もありました。
比率として男性社員が多かったのも理由で、大人になった今、プリクラで撮影すること自体に抵抗感を持つ人間もいたので、説得も大変でした。ただ、試作段階で遊んでみると男性同士でも盛り上がってくれて、再参入に対する期待値は徐々に増していきました」(有川)