セガ、20年ぶり「プリクラ市場」に再参入。なぜ今なのか、開発者に聞いた
ゲームメーカーの老舗・セガが、およそ20年ぶりにプリントシール機市場に再参入しました。アトラスとの共同開発による「プリント倶楽部」で女子高生を中心とした「プリクラ」の一大市場を築き上げた同社は、最新機種「fiz(フィズ)」により、なぜふたたびの参入を図ったのか。
開発担当者である、プロダクト研究開発部・開発プロデューサーの有川尚毅さんと、アートディレクターの宮中沙羅さんに話を聞いてみました。
女子高生をターゲットに再参入を図った
セガが初代の「プリント倶楽部」をリリースしたのは、1995年7月でした。以降、改良を重ねながら提供されていましたが、2000年頃に一時撤退。そして今、再参入を図ったねらいを有川さんは解説します。
「大きな目的は、女子高生のユーザー層を取り込むことです。また、弊社はここ数年『ジャンルNo.1』を掲げて、アミューズメント機器市場ではメダルゲームや音楽ゲーム、UFOキャッチャーをはじめとするプライズ事業へ注力していました。プリントシール機市場からは一時的に離れていたものの、今なお数百億円の規模を誇るこの市場に再度挑戦し、規模拡大に寄与したいという意図もありました」
「アミューズメント施設へ来る方々の中でも、プリクラのユーザーは立ち位置が特殊で、他のゲームもついでに遊んでいくといった人たちではなく、プリクラを撮ることだけを目的とする『目的客』と呼ばれています。その客層に向けた製品開発からしばらく遠ざかっていたため、元祖ではありながら、新規参入に近い再チャレンジの気持ちでプロジェクトを立ち上げました」(有川)
ユーザーの楽しみ方は変化している
ユーザー層は初代「プリント倶楽部」と変わらずとも、現代ではプリクラに求められるトレンドが変化しつつあるとか。アートディレクターの宮中さんはこう解説します。
「当初の予測や7月のリリースからのデータをみても、やはりターゲットの中心となるのは女子高生です。初代(プリント倶楽部)も同じく、そこから男子高校生やファミリー層に拡がっていきました。一方で、ユーザーの楽しみ方は変化している印象です。
現代では、過去のように手帳にシールを貼るといった使い方はごく一部で、SNSで『#プリント倶楽部』と共に画像データを拡散するなど、現物のシールよりも、盛れた画像データや友人と一緒に『ゲームセンターで思い出を作る』といった体験価値が重視されています」(宮中)