「ヒゲ剃りは洗顔後に」シック・ジャパン社長が語る “楽しい”スキンケア
コロナ禍で大きく変化を見せる消費動向やライフスタイル。企業はポストコロナ時代の“新常態”を踏まえて、柔軟な対応やビジネスの展開をしていく必要があるだろう。
シェービングやスキンケア関連の製品を扱うシック・ジャパン株式会社もまた、新たな事業の方向性を模索している。同社の村野一社長に、異業種を渡り歩きながら築いたアントレプレナーシップや日本上陸60周年の節目の年に描く事業展望について話を聞いた。
仕事に明け暮れた新卒ソニー時代
村野社長はこれまでソニー、リコー、デアゴスティーニ・ジャパンという異なる業界でキャリアを積んできた。異業種で渡り歩いてきたビジネス人生において、どのようなマインドを持って仕事をこなしてきたのだろうか。
「学生時代から海外で仕事をして、成果を出すことに憧れていました。新卒でソニーに入社した時から、『絶対に海外で活躍するんだ』と公言していたので、とにかく必死にアピールしました。その甲斐あって、2年目からは海外での仕事を任されたのです」
新卒2年目から早くも海外赴任が決まり、シンガポールの海外部門に配属されることとなった村野氏。しかし、「海外で働くことはスタートに過ぎず、いかに結果を出すかが次の試練だった」と、当時のハードな仕事ぶりをこう振り返った。
「月曜から土曜まで仕事をし、休日の日曜は市場へ調査に出て、レポートを会社に提出していました。別に会社から指示されたわけでもなく、自発的に行っていましたが、いろいろな経験を積みたかったので、業務以外のことも積極的に行うよう意識しましたね」
先輩からの無茶振りから得た学び
翌年はシンガポールからインドネシアへと赴任先が変わるが、ここで今に生きる貴重な経験をしたという。
「インドネシアでは、先輩に当たる上司のことをすごく尊敬していました。とにかくいろいろと学びたかったことを、上司に伝えると“毎日10個の宿題”を課してくれるようになったのですが、これがまた結構難しくて(笑)。日々のルーティンワークはこなしつつ、さらに宿題があるわけですから、どう頑張っても5、6個しか終わらない。それでいて、翌日はもう10個と、どんどん宿題が溜まっていくわけです」
必死に食らいつきながら宿題をこなしていたという村野氏は、「いかに周囲の人を巻き込んで課題解決できるか」の重要性に気づく。
「相談に乗ってくれる協力者を探し、上司からの宿題を手伝ってもらうほうが、良いアウトプットも出るし、何より効率的。計画的に段取りをして仕事する大切さを学びました。まずは、与えられた日々のタスクをこなさないと、自分のやりたいことはできません。そのうえで、いかに他の人に手伝ってもらえるか。経営者に必要な『人の心に火をつける(インスパイアする)』力は、インドネシア時代に身についたと思っています」