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三菱商事出身の新社長が斬り込んだ「カンロ 60年目のタブー」

ビジネス

キャンディをとりまく世の中が変化した

 着任当時はグミや飴、キャンディの市場においてカンロがどこを目指し、他菓子メーカーとどう差別化するべきか全体の戦略を考える局面に差し掛かっていた。

「カンロは歴史ある企業で、『のど飴』というカテゴリーを業界に先駆けて創出したり、大人の女性向けの『ピュレグミ』を発売してグミ市場を拡大したりしてきました。しかし一方で、お客様の糖に対する意識やライフスタイルの多様化によって、キャンディをとりまく世の中は大きく変わった。変化が激しい市場で勝ち残っていくためには、改めて企業の理念やミッションなどを再構築する必要がありました」

 そこで、社員を巻き込んでの大がかりなリブランディングを行うことを決意。

 さまざまな役職、部門のメンバーを集めた全社レベルのプロジェクトを立ち上げアイディアを出してもらったり、カンロの長期ビジョンを考えてもらったりしたことで、2017年の新CI導入にこぎつけた。

大胆な新CI導入の裏には「社員の結束」

カンロ

新コーポレートスローガン「糖から未来をつくる。」

 新コーポレートスローガン「糖から未来をつくる。(Sweeten the Future)」を掲げ、「糖」を基盤とした新しい事業戦略への布石を打ったわけだが、「糖=ダイエットの敵という偏向したイメージを払拭したい」と三須社長は話す。

「糖質制限ダイエットが世間から注目され、“糖質を悪者”と捉えてしまう風潮がありました。ただ、カンロ含めお菓子メーカーは、糖とは切っても切れない関係。しかも糖は人の身体に不可欠なもの。『糖と歩む企業』と前向きに捉えることで、社員に自信を持ってもらいたい。

 糖と長年向き合ってきた企業だからこそ、売上の9割以上を占めるキャンディに求められるニーズを汲み、時代に沿った商品開発を行うべきと考えたんです。こうした背景から、40年ぶりにCIを見直し、新たにブランドを育てていく決断に至りました」

 世の中が糖の摂取に対して敏感になるなか、キャンディという“糖の塊”を売るカンロが、糖をポジティブな面を打ち出したことで、問屋や小売店からも好評を得たという。

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