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「僕が7900万円をクラファンで調達できたワケ」無名のミュージシャン社長に聞く

ビジネス

 インターネットで不特定多数から資金を集めるクラウドファンディングという手法。これまで一部の事業者や個人だけのものでしたが、コロナ禍における事業者たちの救済措置として、急速に普及しています。

 とはいえ、タレントや有名企業家ではないと、クラウドファンディングを呼びかけても、なかなか資金が集まらないのも事実。無名な一般人でも高額な資金を集めることは可能なのか。

クラファン

※クラウドファンディング型ECサイト「Kibidango」より

 誰でもすぐに弾ける簡単さと、コード進行の学習や音楽制作にも活用できる電子楽器「インスタコード」の開発者でInstaChord株式会社の代表取締役を務めるミュージシャンの“ゆーいち”さん

 同商品は1個2万9800円という価格設定にもかかわらず、クラウドファンディングを駆使し、支援金額7900万円、2400台の予約注文を集めました。これまでメディア露出がほとんどなかった無名のミュージシャンが、たった一人で成し遂げた背景には何があったのか。本人に話を聞きしました。

最初はクラファンをやりたくなかった

クラファン

電子楽器「インスタコード」を持つ“ゆーいち”さん

――クラウドファンディングで資金を集めようと思ったのはいつごろですか?

ゆーいち:最初は銀行や政策金融公庫の融資を受けようと思っていました。しかし、量産化の目途が立った今年の3月ごろ、新型コロナウイルス不況への対応でどこの窓口もパンク状態だったため、融資の相談すらできない状況でした。

 そこでクラウドファンディングについて研究をしたのですが、調べれば調べるほどクラウドファンディングに対して否定的な考えを持つようになりました。

――クラウドファンディングに否定的になったのはなぜですか?

ゆーいち:1つ目の理由は、購入型クラウドファンディングに対する社会のイメージが必ずしも良くないことです。

 今から4~5年前、スタートアップ企業の資金調達手段として、クラウドファンディングが注目を浴びた時期がありました。しかし、特に電子機器の製造は経験の浅いスタートアップ企業にとってハードルが高く、クラウドファンディングで資金調達に成功しても最終的な製品を届けられないとか、著しく品質の低い製品が届くという事態が多発しました。
 
 その後、クラウドファンディング運営会社は信用を高める努力を重ねてトラブルも減っていますが、未だに購入型クラウドファンディングに対してマイナスイメージを持つ人も少なくないんです。

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