「“7月病”に要注意」コロナ下のメンタル不調を、人材育成のプロに聞く
新型コロナウイルスの流行は、いまだ予断を許さない状況が続いています。ビジネスの現場でも業界や企業により対応はさまざまですが、今年は「5月病」ならぬ「7月病」と呼ばれる症状が心配されているとか。
自粛疲れで「なんだかやる気がでない」「出社したくない」などメンタル面の落ち込みを嘆く声も聞こえてきますが、若手ビジネスパーソンが持っておくべき心がまえを、人材・組織のコンサルティングを手がける、リクルートマネジメントソリューションズ主任研究員・桑原正義さんに聞きました。
なぜ、今年は「7月病」?
医学的な病名ではないものの、5月病と似た症状が表れる7月病。コロナ禍における環境の変化があった今年は「夏からお盆休みにかけて、気持ちの落ち込みが目立ち始める可能性がある」と桑原さんは指摘します。
「従来の5月病は、主にゴールデンウィークを明けに仕事が再開し、休日とのギャップを感じてしまうのが理由でした。新入社員の場合は4月に入社して1か月ほど経ち、帰省などをして友人たちと話している中で『このままでいいんだろうか』と迷い、疲れている自分に気がついてしまうといった流れです。
一方で、今年は6月から出社などを伴う通常業務を再開した企業が目立つので、似たような影響が7~8月辺りにずれ込むとみています。また、5月病でいうゴールデンウィークにあたるのがお盆休みになりうるので、そのタイミングで『自分は今の職場にいてよいのか』と悩み始める人が増えるのではないかと懸念しています」
活躍する同期や友人を見て自信を失くす…
ビジネスでは、さまざまな場面での“リモート化”が目立ちます。オンライン上での新人研修に取り組む企業も多いが、その影響で「同期の社員同士における差が激しくなっている」とも解説します。
「入社してすぐ自宅待機を求められたり、リモートで研修を進めたりと、企業や部署によってコロナ禍への対応はさまざまでした。ただ、その変化を受けて同期ごとの格差を感じやすくなったのも事実で、業種によってどれほど働けているかもまちまちになっているため、例年よりも現状の違いが明確になりやすいです。
とりわけ自宅待機をしている人は『働かなくても平気なのか?』と焦燥感も生まれやすいです。また、SNSを通して他人の情報を目にしやすい時代でもあるため、例えば、友人同士や他部署に所属する同期社員の活躍などを見て、『自分は立ち止まっているのに、他のみんなは精力的に活動している』と思い込んでしまい、自信喪失してしまうケースも考えられます」
加えて今年は「先輩たちのような研修や配属前実習ができていないから、自分の成長が遅れているのではないか?」「(後輩となる)来年の新人に、すぐに追い抜かれてしまうのではないか?」という心配を抱える人もいるようです。