「仕事=趣味」の20代会社員が、リモート会議で見つけた生きがい
楽しい時間ではあるものの…
「打ち合わせ中に描いた上司の似顔絵を同期とのリモート飲み会で見せたら、特徴をよく捉えているとみんなが褒めてくれたんです」
取りつかれたように仕事に没頭してきた中西さんでしたが、それ以来、絵を描くことに時間を割くようになります。しかし楽しい反面、危機感は常にありました
「ペンタブをはじめとするツールも一通り揃えて、GWは漫画ばかり描いて過ごしました。これまで自己研鑽(じこけんさん)に当てていた時間を削って描いているので、必然的にビジネスマンとしての成長は鈍化することになりますよね……」
絵を描かないと眠れなくなってしまう
そこで、仕事の予習時間もうまく作れないか、試行錯誤することになった中西さんでしたが……。
「自己研鑽の日と漫画を描く日を分けて、バランスを取れないかやってみたんですが、何も描かなかった日は、ベッドに入ると気持ち悪くて眠れないんです。でも1日で両立しようとすると、どうしても先に漫画を描いてから自己研鑽という流れになってしまう。結局、それだと絵ばかり描いて学習時間がとれないんです」
どうしたらバランスを保てるか悩んでいた中、モヤモヤが吹っ切れた出来事があったそうです。
「落書きを褒めてくれた同期から、SNSのアイコン用に似顔絵を描いてくれないかと頼まれたんです。彼は僕が書いた似顔絵をいたく気に入ってくれて、同期の紹介で多くの人から頼まれるようになりました。皆喜んでてくれて、無料では悪いと制作料も払ってくれたんです」
上司に褒められたり、お客さんに喜んでもらえるよりも、絵を褒められる方が格段に嬉しかったという中西さん。仕事に支障をきたす可能性も否めないそうですが、とりあえず満足するまでやり切ってみようと思っているそうです。
― 特集 20代のおうち時間改革 ―
<TEXT/和泉太郎 イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>