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コロナ給付金の不正受給「10分で20万円」の衝撃。その悪質手口は?

コラム

「支援金がもらえますよ」「すぐに20万くらい稼げますよ」

 とある外資系生命保険会社社員の営業マンのもとには今年5月以降、こんな電話がかかってくるという。事業者向けのコロナ給付金や協力金を目当てに、不正受給を促す悪徳業者が現れているのだ。

お金

給付金を不正受給、その驚きの手口とは… ※イメージです(以下同じ)

 今回の「持続化給付金」や「休業協力金」など給付金制度について、専門家のなかには「スピードを早めるために受給資格や支給制度を簡素化すぎている」という指摘もある。簡素化のせいで生じた不正受給のスキとはなんだろうか。

本来は売り上げ減の事業者に

 経済産業省が中小企業や個人事業主を救済するために創設したのが持続化給付金。新型コロナウイルスの影響で売り上げが前年同月比50%以上減少していれば、中小企業なら最大200万円、個人事業主なら最大100万円の給付金を受け取れる制度だ。

 最近では『週刊文春』が報じた一般社団法人サービスデザイン推進協議会への“疑惑の発注”など、不透明な構造やずさんな管理体制が問題視されたことも記憶に新しい

 また、同じく事業者救済策として各都道府県が創設したのが休業協力金。東京都の場合は、4月以降の休業要請などに応じた個人事業主に対して、50万円(2事業所以上で休業等に取り組む事業者は100万円)が支払われる。

 飲食店やスポーツジムなどは、新型コロナウイルスの休業要請の対象となったため4~5月にかけて売上が急減している。給付金は本来、こうした事業者のために創設されたものだった。

狙われた持続化給付金

経済産業省

霞が関の経済産業省 CC BY 3.0

 しかし、これらを悪用し、不正受給しようとする業者が現れているという。制度のどこに穴があるのだろうか。実際に給付金申請などに携わり、都内の税理士法人代表も務めるA氏が、悪質な同業者の存在について語る。

「持続化給付金の申請には昨年の売り上げと、今年の売り上げの両方を提出する必要があります。それが前年同月比で50%以上減少していれば支給対象です。ただ、昨年の売り上げは確定申告書や法人事業概況説明書などの書類の控えをまとめて提出するときに、ある月の売り上げを前後の月に分散させて、前年同月の半分以下に調整すれば、給付金が受け取れてしまうのです

 これに目をつけたのが、一部の悪質なコンサルティング会社。手当り次第に、中小企業や個人事業主に電話をかけて「ちょっとした手続きで、持続化給付金がもらえる」と勧誘しているのだ。

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