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全米で抗議デモが広がる理由。日系企業への被害も

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若者の抗議デモは世界で起きている

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 米国労働省は5月31日、新型コロナウイルスの影響で初めて失業保険を申請した労働者が4000万人を超え、全労働者の4分の1に達していると発表した。ミネアポリスがあるミネソタ州の知事も「もはや抗議デモは同事件と関係がないものになっている」と主張している。

 経済的不満を持つ若者による抗議デモ、暴動は、近年各国で発生している。

 南米チリでも昨年10月、政府による地下鉄運賃の値上げ決定に市民の怒りが爆発し、抗議デモが国内各地に拡大した。抗議デモに参加する若者らは首都サンティアゴなど各地で治安当局と激しく衝突し、20人以上が死亡、500人以上が負傷した。

経済格差、失業に不満を持つ若者たち

 イランでも昨年11月、政府によるガソリン価格の値上げ決定に市民の怒りが爆発し、抗議デモが各地に拡大した。今回の米国のように、若者たちは警察署や銀行、ガソリンスタンドなどを次々に襲撃し、多くの店で略奪行為が発生した。一連のデモによる死者数は、少なくとも200人以上に上っている。 

 米国やチリ、イランで発生した抗議デモでは、世界経済の停滞に伴う経済格差、失業に不満を持つ若者の姿は共通している。米中対立の激化や新型コロナウイルスの影響で、今後さらに経済情勢が悪化し、世界各国で不満や怒りの声を上げる若者の姿が目撃されるかもしれない

 そして、海外に進出する日系企業にとってもこれは他人事ではない。6月2日、日本政府は米国各地で発生した一連の抗議デモによって、現地で操業する日系企業の一部に被害が生じていると明らかにした。

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