「カレーは飲み物。」創業者が語る、変なネーミングとマジメな経営論
“ラノベ系ネーミング”のインパクト
「ボリュームはもちろん、味にもうるさいお客様が多いので、納得していただける努力は惜しまずやっていますね。店名に関しては、創業当時は『やっちゃたな〜、すぐに潰れるよ』みたいな周りからの視線をヒシヒシ感じていましたが、逆に競合相手もいなかったのでしっかり認知されたと思います」
最近ではこうした“ラノベ系ネーミング”のインパクトに目をつけたと思われるパン屋さんやラーメン屋さんなども誕生。来店してもらうためのきっかけづくりの手段のひとつとして、ラノベ系ネーミングは少しずつ定着しているようだ。
コロナ禍で飲食業界を取り巻く環境は激変しているが、過去には飲食店の再生事業などにも携わった経験を持つ壬生氏は、自粛期間が終わったこれからが本当の正念場だと語る。
「まずは“安心の見える化”というテーマで、飛沫防止策などの感染対策に取り組んでいます。“地場デリバリー”として池袋エリアで出前もやろうと思っています。カレー、とんかつ、ハンバーグ、肉そばなどのマルチブランドをドミナントで展開している利点を活かすことで、雇用も安定的にキープできると考えています」
地元・南信州の経営者をリスペクト
急激に店舗数を増やすなど事業拡大を急いだ結果、大量閉店に追い込まれる飲食店も目立つ昨今だが、壬生氏は名経営者として知られる伊那食品工業の塚越寛氏をリスペクトしているという。長野県・伊那市に本社を構える同社は、知る人ぞ知る日本市場における「寒天」のトップメーカーだ
「身の丈に合った着実な成長を目指す『年輪経営』で知られる伊那食品工業は、ぼくの故郷である南信州を代表する企業。ジャンルは違いますが、地域・お客様・仲間を大切にして過剰な利益を求めず地に足をつけて一歩ずつ成長していく理念は、会社を経営していく上でも、毎日を生きていく上でもぼくの指標になっています。
ぼくらは10年掛かりで26店舗つくってきましたが、これからもジワジワと少しずつ着実に歩んでいくつもりです」