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「年齢と性別」でのターゲッティングはNG。大ヒットのメモツールを生んだ発想術

ビジネス

とらやの羊羹のブランディング

――好きになってもらうにはどうしたらいいのでしょうか?

今井:いかにお客さんの期待を作るかが大事。たとえば私は関西出身だったので「とらやの羊羹」って名前は知っていたのですが、初めて見たとき正直、値段にびっくりした(笑)。しかも自分が食べるのではなく、お土産として持っていくためのものですよ。

 それでも買いたいと思ってくれる人がいるのは、お客さんがとらやに期待しているからで、それこそブランディングの成果だと思います。

――腕にまきつけるウェアラブルメモ「wemo」はターゲッティングで具体的には「現場最前線のワーカー」というワードにしましたが、その理由は?

今井:もともとは肌に直接メモしている看護師さんの手をみかけたことが開発のきっかけです。だから、だから本当は看護師がターゲットでもよかったですし、普通に考えたらそうすべきなのですが、宅配業者や農家さん、救急隊員もその場でメモができなくて困っているという話を聞き、「現場最前線のワーカー」というターゲットを設定しました。そのほうがもっと多くの人に使ってもらえますしね。

ターゲッティング、2つのポイント

wemo

ウェアラブルメモ「wemo」

今井:ターゲッティングのポイントは2つあります。1つ目はつい「年齢と性別」で決めてしまいがちなターゲット設定をやめること。テレビの影響が強かった時代は、マスな世代や年齢にアプローチするターゲティングも通用しましたが、いまは趣味嗜好が多様化した時代。性別や年代以外の切り口で、いかにお客さんを定義できるかを考えたほうがいいです。

 2つ目は、世の中にないものを作る時、ついお客さんがたくさんいる市場が大きいところにアプローチしがちですが、むしろ、たとえ何万円払ってもその商品をほしいと思ってくれる1人の「渇望者」を探したほうがいいということ。

 その商品に関するアンケート調査で「ほしい」と答える人よりも、その商品を見せたとき「今すぐお金払うから売ってくれ!」とお願いしてくれる人がいそうな商品を作ることが理想的です。

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