【中川淳一郎】新社会人のためのメール作法。相手に「バカか、コイツ」と思われない
「面識がない相手からの依頼」への返し方
続いては、「文春オンライン」で「肉のハナマサの良さ」「ハナマサで人生上向いた理由」を書いて欲しいという依頼だ。この依頼主とは会ったことがないため、私も丁寧にメールを書いている。オファーが来て直後(30分以内)に返信はしている。前述の「人間関係が良好な方がいい」とは別のフェーズの話だ。
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◯◯さま
お世話になります。
ご連絡いただきありがとうございます。
はい、書かせていただきますね。
「人生上向いた理由」ということで承りました。
何文字ぐらいが目安となりますでしょうか?
中川
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ここではすぐに「あなたのオファーに感謝」「テーマも理解」を伝える。ただし「文字量を教えてください」という質問をし、仕事を開始する準備に入る前情報をGETする。
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中川さま
お世話になっております。
早速ご快諾ありがとうございます!
厳密な制限はございませんが、皆様に基本的には2500〜3000文字前後でお願いしております。
記事の体裁としては、「肉のハナマサの活用術」を表に押し出せればと覆っています。実用的な知識を中心に、その導入や
繋ぎの中で「中川さんとハナマサ」のエピソードを入れていく……といったイメージでご執筆いただけましたら幸いです。
原稿楽しみにしてます!
何卒よろしくお願いいたします。
◯◯
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この人も実に丁寧なメールである。最後の「原稿楽しみにお待ちしてます!」の「!」もいい。会ったことはないまでも、親近感を持ってますよ、の姿勢を示してくれている。
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◯◯様
お世話になります。
ハナマサの良さについてはいくつかありますが、
・量が多い→小分けにせざるを得ずそれを何度も食べるため料理のバリエーションが増える
・安い
・商品の種類が豊富(野菜・魚・肉・納豆・酒・飲料・調味料 ありとあらゆるもの)
その他
といったところになるかと多います。この中で「安い」と「豊富」の
写真を過去に撮影していましたので、前もってお送りしておきますね。
(多分忘れてしまうと思いますので)
その他の写真も店で撮っておきます。
中川
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さあ、すべてがクリアになった。続いては、具体的にどんな内容にするか、の案とあとは「写真も撮っておきます」とより発注主がラクになるための提案・宣言も大事だ。これも無事仕事は完遂できた。
丁寧すぎる「バカ」とのやり取りも
最後に「バカ」とのメールのやり取りを紹介しよう。
相手は銀行員で、個人情報保護法やら顧客情報の取り扱いに慎重なのは分かるのだが、私が指示した通りにまったくしていないのである。丁寧過ぎてもそれは仕事が進まない結果になっている。このやり取りはバカのメールがどんなものかをすべて表している。一言ずつ解説を入れながら紹介しよう。こういうメールはやめましょう。
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◯◯様
お世話になります。中川淳一郎です。
現在確定申告を◯◯の◯◯さんと進めております。
それにあたり、私の財産状況を把握する必要があるそうですので、
現段階での数字を「◯◯」「◯◯」両方で
教えていただけませんでしょうか。
お手数ですがどうぞよろしくお願いいたします。
中川
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実にシンプルな依頼である。過去にこの担当の前任者からすべての財産を一覧にまとめて説明をしてもらったことがあるため、税理士・弊社のY嬢をアドレスに含めて担当者に送った。ここでは税理士法人の社名と担当者名は第一段落で明記している。
Y嬢については「弊社のY嬢も把握のためCCに入れています」と書くのが親切だったかとは思うが、まぁ、常識的に考えて「全員返信」で「承りました。それでは○○さん(税理士名)と私で色々やり取りしますので、中川さんも今後宛先に含めておきます」などという返事が来ると思っていた。すると、こう来た。
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中川さま
いつもお世話になっております。
財産状況ですが【ご契約金額】または【現在の時価】どちらでお伝えすればよろしいでしょうか?
また、ご報告は【書面でお渡し】または【書面でご郵送】でもよろしいでしょうか?
どなた宛にメールを返信してよいかわからず、今回は中川さまのみに返信しております。
同時に返信をご希望される方がいらっしゃいましたらご支持ください。
何卒よろしくお願い致します。
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