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新型コロナで上司が「除菌スプレー依存」に。社員総出で買い出しに…

学び

出勤して目に飛び込んできた異様な光景

 とうとうアルコールスプレーの在庫が底をつきそうになったある日。川上さんが出勤すると、そこには驚くべき光景が広がっていました。なんと従業員を全員整列させて、常務が一人ひとりを品定めするように眺めたあと、「はーい、君はこっち、君はあっちね」と、謎の指示を出していたのです。

「幸い、僕はメンバーに選ばれなかったのですが、まるでひよこの性別の選定をしているようでした(笑)」

 選抜メンバーのミッションは、もちろんアルコールスプレーの買い出し。結果的に、15人ほどが常務に連れて行かれてしまいました。

 従業員の過半数がいなくなってしまったので、もちろん通常業務ができるはずもありません。特に川上さんは入ったばかりで、覚えることが山ほどあるのに自分の教育係は買い出しに。なかなか帰ってこなかったので手持ちぶさたになり、途方に暮れたそうです。

 ようやく買い出しメンバーがパラパラと帰ってきたのが、お昼過ぎになってから。

「なぜかみんな一様に得意顔で、謎の達成感に満ち溢れていて、戦利品でも持ち帰ったような勢いでした」

 結局、午後は全員総出で社内の除菌をすることになり、まったく仕事になりませんでした。

常務から初めて電話がかかってくるも…

掃除

 それからというもの除菌は、毎朝の日課となりました。全員で社内をくまなく除菌するのは、少し異様ともいえる光景。

 そんなある日、常務が3日ほど出張することが決まり、ようやく除菌から解放されるかと内心ホッとしていたら、川上さん宛に、常務から初めての電話が鳴りました。「ひょっとして重要な仕事を任されるのでは?」と期待して電話に出ると……。

「みんな忙しいと思うから、僕がいない間は、川上くんが仕切って除菌してね」

 常務からまさかのひと言で愕然としたという川上さん。新型コロナウイルスによる除菌騒動は、感染拡大が収まるまで続きそうです。

<TEXT/黒岩秀利>

大学卒業後、ロンドンでフリーライターとして活動。帰国後、大手広告会社で、求人広告の記事制作に従事。現在はフリーランスとして、Webライターの他にも、編集、ディレクションなどをやっています

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