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年収400万円の人は稼いでも「幸福を感じにくい」ワケ

コラム

お金を稼ぐより6000%手軽な幸せのなり方

 もう少しわかりやすい比較をしてみましょう。経済学の世界では、「お金から得られる幸福」と「その他のライフイベントから得られる幸福」のレベルを比べる研究が過去に何度か行われています。たとえば収入アップと結婚の幸福を比べた場合に、どちらのほうが私たちを幸せにしてくれるのかを比較したわけです。

 具体的な結論をいくつか紹介します。

・仲が良いパートナーとの結婚から得られる幸福度の上昇率は、収入アップから得られる幸福より767%も大きい(年収が平均値から上位10%に上昇した場合との比較)

・健康レベルが「普通」から「ちょっと体調がいい」に改善したときの幸福度の上昇率は、収入アップから得られる幸福より6531%も大きい(年収が平均値から上位1%に上昇した場合との比較)

・離婚や失職による幸福度の低下率は、年収が3分の2も減ったときの幸福度の低下に匹敵する

 つまり、がんばって世間でもトップクラスの年収を稼ぎ出したとしても、良いパートナーとめぐりあう喜びや、健康の改善による幸福度の上昇レベルにははるかに及びません。お金を稼いで幸福を目指すなら、まずは人間関係や健康の改善にリソースを注ぐほうが効果は大きいわけです。

1万人に調査した「世帯年収と満足度の変化」

ビジネス

「年収800万円が幸福度のピーク」との説を聞いたことがある人は多いでしょう。ノーベル賞受賞者であるダニエル・カーネマンの研究で有名になった事実で、あらゆる職種の年収とメンタルの変化を調べると、およそ年収が800万~900万円に達した時点で幸福度の上昇は横ばいになります。これは世界中どこでも見られる現象で、アメリカでも 日本でも幸福になれる金額の上限はさほど変わりません。

 もっとも、この数字はあくまで「それ以上はいくら稼いでも幸福度がほぼ変わらなくなる」最大値を示したものであり、現実的にはもっと手前から幸福度は上がりにくくなります。

 たとえば、令和元年に内閣府が発表した「満足度・生活の質に関する調査」では、1万人を対象に世帯年収と主観的な満足度の変化を比べました。

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・「100万円未満」5.01点
・「100万円~300万円未満」5.20点
・「300万円~500万円未満」5.68点
・「500万円~700万円未満」5.91点
・「700万円~1000万円未満」6.24点
・「1000万円~2000万円未満」6.52点
・「2000万円~3000万円未満」6.84点
・「3000万円~5000万円未満」6.60点
・「5000万円~1億円未満」6.50点
・「1億円以上」6.03点

※「現在の生活にどの程度満足しているか」について、0点から10点の11段階で満足の度合を質問し、「全く満足していない」を0点、「非常に満足している」を10点として調査を実施
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 世帯年収300万~500万円のあたりから満足度の上昇が鈍り始め、 1億円に達しても大した数値の変化が見られていません。カーネマンの研究とは指標が違うため単純な比較はできませんが、日本においても世帯年収が 300万~500万円を過ぎたあたりから、急に満足度が上がりにくくなるようです。

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