キツイ香水を無理やり…男性社員が体験した女性クライアントのパワハラ
上司に訴えても「酒の席だから」
村田さんは帰社してから上司に報告しましたが、反応は冷ややかでした。ところが、自社主催の忘年会の席で、とんでもないことが起ったのです。
「酔った池上さんが、僕の顔をいじってわざと変顔にして笑い飛ばしたんです。しかもドレスの肩に思い切り僕の顔をくっつけさせ、香水の匂いに耐えられない僕を悶絶させたんですよ。思わず、むせてしまった僕を『私の香水に文句でもあるの? 村田くん、打ち合わせのときも、無言で“くさい”っていうような嫌な顔をしているよね』と、いちゃもんをつけてくるんですよ」
村田さんはその場では我慢しましたが、あまりの悔しさに、トイレにかけこんで、拳を握りしめて、震えをおさえたそうです。
「翌日、上司に訴えたんですが『酒の席だから』となだめられただけ。そこで担当を降板させてもらいたいと願い出たんですが、スルーされてそれきりです。来年もまたあのパワハラデザイナーに高圧的な態度をされるかと思うと、ぞっとします。本気で転職を考えていますよ」
人材のプロが指摘「会社の体質かも」
大手人材派遣会社に18年間勤務の後、7年前に独立して多くの転職者をサポートしてきた人材紹介コンサルタントの矢加部英達氏は、村田さんのケースを次のように分析します。
「これは完全なパワハラです。でも残念なことに、女性から男性へのパワハラを、男性自身があまり問題にしていないんです。恥ずかしいとか、プライドが邪魔をするなどの理由などが挙げられます。でも今後はどんどん声を出していってもらいたいですね」
そして、矢加部さんは「パワハラをそのままにするというのは、会社の体質かもしれないので、すぐに改めるのは難しいでしょう。まだ若いので、転職を勧めますね。業界を変えたほうがいいかもしれません」と、村田さんに転職を勧めます。
忘年会が村田さんの転機だったのかもしれません。新しい会社で、生き生きと実力を発揮してもらいたいですね。
― 特集・忘年会にまつわるエトセトラ ―
<取材・文/夏目かをる イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>