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非電化区間にも進出「JR九州」蓄電池電車・DENCHAの乗り心地は?

暮らし

西戸崎まで足をのばす

JR九州

 始発の普通列車西戸崎行きワンマン電車に乗り換え、16時36分に発車。最高速度85km/hで飛ばしてゆく。電車化により、西戸崎―香椎間、香椎―宇美間とも、所要時間が若干短縮された。

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最後の行き違い列車は、BEC819系100番代だった

 西日本鉄道貝塚線乗換駅の和白で、普通列車香椎行きワンマン電車と行き違ったあと、雁ノ巣から海ノ中道海浜公園へ入る。進行方向左側は博多湾、右側は玄界灘のあいだの陸地を走行し、海ノ中道信号所で最後の行き違い。5回すべて私が乗った列車が待たされることとなった。

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終点西戸崎へ

 ラストコースは博多湾沿いを進み、17時00分、終点西戸崎1番のりばに到着。鉄路はここで途切れ、この先へ向かうには、西鉄バスに乗り換える(停留所は駅構内と駅前の2か所)。

将来は関門トンネルを越えられるか

JR九州

本州と九州を結ぶ唯一の旅客列車は、国鉄時代に登場したJR九州415系。“架け橋”としての重責を担う

 BEC819系にうってつけの路線は、まだある。それは山陽本線下関―門司間だ。同区間は電化されており、普通列車は国鉄時代から走り続ける415系近郊形電車の独壇場だ。

 非電化ではない山陽本線を挙げたのは、関門トンネルの九州側で直流電化と交流電化に分かれるため。JR九州が保有する電車で、直流、交流のどちらにも走行できるのは415系のみ。綺麗に整備されているとはいえ、大ベテランの域に入っており、新型車両の登場が待たれる。

 BEC819系なら、パンタグラフを下ろした状態で、関門トンネルを越えることはできるものと思われる。しかし、直流電化区間で交流電車が試運転、営業運転をした実績がないほか、直流電化区間で車両故障が発生すると、自走できない恐れがある。そうなったら、JR貨物から機関車の力を借りるほかない。また、下関駅はJR西日本管理駅なので、同社の理解も必要になる。

 小倉23時46分発の普通列車下関行きは終点到着後、本州に残り滞泊。翌日、下関5時52分発の普通列車小倉行きで折り返す。長時間にわたる直流電化エリアの“過ごし方”も課題になるだろう。

<取材・文・撮影/岸田法眼>

レイルウェイ・ライター。「Yahoo! セカンドライフ」の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、ムック『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)『鉄道ファン』(交友社)や、ウェブサイト「WEBRONZA」(朝日新聞社)などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある

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