楽天が買収した台湾球団ラミゴ。唯一の日本人スタッフ・29歳の素顔
通訳のアルバイトからスタートし、現在では社員に
――球団で働くことになったきっかけはあったんですか?
礒江:大学3年のときに交換留学で台北の中国文化大学に通いました。台湾でアジアシリーズ(2011年大会)が開催されるタイミングで、通訳のアルバイトを募集していたんです。思い切って応募したら採用されて、ラミゴのスタッフとして働き始めることになりました。
その後、2014年にラミゴがロッテと試合をすることになったので運営を手伝い、2016年にも石垣島でロッテと交流試合をすることになったので担当しました。石垣島の案件が終わったあとに、正式に社員として採用されました。
――エントリーシートとか面接とかはなかったんですか?
礒江:特になかったですね。面接はしましたが、条件面の確認といったぐらいでした。特に就活らしい就活をすることもなく、勤め先が決まった感じです。
――今のお仕事は?
礒江:マーケティング部に所属しているんですが、普段はチームの対外試合の運営などをしています。ラミゴやロッテや日ハムとの交流試合を毎年しているので、その企画や運営ですね。「日本フェスタ」というイベントを試合日に行うこともあって、日本の球団のマスコットやチアガールが台湾でパフォーマンスを披露することもあります。台湾ファンに日本のプロ野球の面白さや、日本の観光スポットを紹介したりするのも仕事のひとつです。
あとは、ラミゴの日本語チラシを配布したり、日本人向けに日本語のツイッターを運営したりもしています。昨年は王柏融(ワン・ボーロン)選手の移籍案件も担当したので、結構忙しかったです。
恩義のある台湾野球に貢献したい
――給料はどうなんでしょうか?
礒江:老後は日本に帰って悠々自適に暮らしたいとなると大変かもしれないですが、台湾で暮らす上に必要な額はもらえているかなと思います。
――なかなか充実してそうですね。台湾での生活はどうですか?
礒江:台湾の生活がかなり気に入っているので、ずっとこちらに住み続けるつもりです。日々の通勤は満員電車に乗ることもなくスクーター通勤ですし、快適に暮らしています。
――今後の目標は?
礒江:台湾野球の選手やスタッフ、ファンの方々には本当にお世話になっているので、恩があると思っています。これからも台湾野球に少しでも貢献していきたいです。
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礒江さんは球団スタッフとしてかなり充実した日々を送っている様子。楽天が台湾球界に参入することで、日本と台湾の間で野球を通した交流がさらに盛んになるのは間違いない。今後のさらなる活躍を期待したい。
次回、<29歳日本人スタッフが語る“台湾野球”の魅力。チアリーダーと一体になって応援>に続く。
<取材・文・撮影/西谷格>