30万円で中古ポルシェを買った20代、「後悔だらけ」と語る理由とは
富裕層と勘違いされ、バイトをゲット
「実は、ポルシェをもらってすぐ知り合いの社長から『君って、金持ちのボンボンか。こういう仕事があるけどやってみないか』と、人材紹介のアルバイトがもらえたんです。
富裕層の人脈はなかったのですが、社長が持っているネタが比較的良質だったため、すぐに数十万円の儲けがありました。でも、彼女とのデート代を確保してから、あまりやらなくなりましたね」
ちょこっと儲けてから、荒稼ぎは終了。近藤さんは中古ポルシェをうまく活用したかに見えたのですが……。
「ある時、そのうわさを聞きつけたクライアントの女性担当者から、『乗せてください』と、せがまれたんです。あまりにしつこかったので、次の営業先に行くまでの間だけという約束で、仕方なく乗せてあげました」
アラフォーのクライアント女性に誘惑されて…
その女性は39歳のアラフォーAさん。バツイチですが、吉田羊似の美女で、近藤さんの社内では「一番足が綺麗」と噂されるほどの脚線美の持ち主です。
「自分の脚線美を誇らしげに、僕に見せつけるように座っていたAさんがふと、『彼女、いるの?』と聞いてきたんです。彼女はいるのに、クライアントへのリップサービスというか、なぜか『いません』と答えてしまって。すると、『私、年下男性、好きよ』と足を絡ませてきたんです…」
やばいと思った近藤さんは、アクセルを強く踏んで、運転に集中します。
「営業先に到着すると、Aさんは『ドアを開いてエスコートして』とせがむので、その通りにしました。すると、駐車場付近で、僕たちを見ていた男性社員がいたんです。変なところ見られてしまったなぁ……と後悔しましたが、もう遅かったんです」
匿名でスキャンダラスなメールが届く
数日後、匿名で、近藤さんとAさんとのスキャンダラスな内容が部署内に一斉メールで届いたのです。明らかに嫉妬から生じたデッチ上げですが、上司は激怒。近藤さんが反論すると、「高級車を乗り回しているからだ」と叱咤されたそうです。
「そのほかに別のクライアントから『資金繰りが厳しいから100万円貸してほしい』と頼まれました。まさか経営が苦しいとは気がつきませんでしたけど、僕が100万円を貸せるわけがない。ポルシェなど高級外車に乗っていると、金持ちだと誤解されます。結局は、分相応が何よりも大事ですね」
そんなこんなで乗る機会が減り、いまポルシェは近藤さんのマンションのガレージに眠っているそうです。
― 特集・車で得した話/損した話 ―
<取材・文/夏目かをる イラスト/小池祐子(@ikeko322)>