年収500万と1000万だと何が違う?タイプ別、資産運用の始め方
老後の不安や子どもの将来のために、最近では20代でも資産運用に挑戦してみようとする人がいます。とはいえ、資産形成をしたいけれど、いきなり投資をはじめるのは不安。
当連載「今から始める“老後2000万”資産形成」では、これまで資産形成に必要な知識、アクションを紹介してきました。しかしながら、まだ投資に対する具体的なイメージを持てないという人もいるはず。今回は、投資をより身近に知るために、実際に資産形成が軌道に乗っている3名にお話を伺いました。
1)社内制度をフル活用し、資産形成を目指す
1人目は、日系IT企業に勤めるSEのAさんです。Aさんは、都内に一人暮らしの28歳で、年収は約500万円です。
「投資を始めたのは、将来に向けて貯金だけでは不安があったことが理由です。アベノミクスが話題になり始め、周囲でも資産形成を始める人が増えていたのも要因のひとつですね」
そう語るAさん。投資を開始する前に、まずは自社の資産形成制度を確認したそうです
「調べてみると、年金、財形給付金、自社株などの制度が意外に揃っていることに気づきました。これら制度は会社からは特に説明がなかったため、自分で調べて初めて存在に気づきました」
Aさんの例のように、ある程度の規模の企業では、勤め先で資産形成制度が整っていることがあり、特に自社株制度など国の制度より有利なものがある場合があります。資産形成の第一歩として、まずはこうした社内制度の有無を確認するのは、自らの持つ選択肢を把握する意味で重要です。
「社内制度の自社株購入と、つみたてNISAを利用して、年収の1割程度(約50万円)を投資に回しています。幸い、投資金額の約250万円が、約400万程度まで順調に推移しています。
また、資産形成の計画を計算する過程で、自社の給与体系を確認したところ、30代半ばで約600万円の給与が見込めることが判明しました。実は資産形成を始めるまで、将来の給与を把握していなかったのですが、今のところ将来の給与と投資額を踏まえると、40歳までに2000万円の資産を形成できる予定です」
意外かもしれませんが、Aさんのように自分の将来の給与推移を予測していない人も多いです。心当たりのある読者は、適切な方法とタイミングで上司や人事情報などを通じて調べてみるとよいでしょう。
2)税制度の活用とムダ出費の削減をコツコツ
2人目は、地方公務員のBさんです。Bさんは東京近郊に奥さん、お子さんと3人暮らしの30歳で、こちらも年収は約500万円です。
「子供の出産を機に、資産形成の必要性を感じました。調べてみると、大学だけ私立に通わせる場合でも、学費だけで約1400万円が必要となるそうです。学費だけでも余裕をもって約1500万円は45歳までに準備しておかなければいけないと焦りました」
Bさんは、そのときから家計全体での資産形成の計画と管理を始めるようになりました。
「まずは配偶者控除やジュニアNISAといった税制優遇を調べました。配偶者控除を踏まえ、税金が少なくなるよう妻のパート収入は調整しています。また、年間80万円の枠のジュニアNISAもフルに活用しています」
他にも家計の無駄な出費の見直しが、大きな効果を生み出したそうです。
「ファイナンシャルプランナーに相談したところ、契約している保険に無駄が多いことを知りました。特に大きい削減として、対面の生命保険からネット保険に変更したところ、夫婦合わせて年間約30万円安くなりました。このような費用の見直しの効果もあり、無理な節約をせずに計画どおりには資産形成をできています」
Bさんは税制度の有効活用や、無駄な出費の削減により、収入を増加せずとも資産形成を実践しています。ご家族で生計を立てている場合、家計全体の資産を見直すことで、大きな効果を生む可能性があります。