自殺、孤独死…「事故物件サイト」の若手社員が語るリアル
コスパを求める若い人からの問い合わせも
――実際、どのような人から問い合わせがありますか?
佐藤:コストパフォーマンスを求める単身世帯やDINKs世帯(共働きで子供を意識的に作らない、持たない夫婦)が多い印象です。また、年齢関係なく問い合わせをいただいたお客様のほとんどは男性ですね。女性にとって事故物件はかなりハードルが高いのでしょう。
あとは、「幽霊が見たいから」という理由でお問い合わせをいただくこともあります。私は幽霊を見たことがないので、見える物件をご紹介することは難しいんですけど(笑)。
これまでは事故物件は探しにくく、1軒、1軒不動産会社をはしごして直接尋ねる方法が主流だったので、ネットで簡単に検索できる成仏不動産が支持されている理由はここにあると思います。
――事故物件を探している人がすることが多い質問はありますか?
有馬:よく聞かれる質問は「ニオイ」の有無です。基本的には特殊清掃やリノベーションをしていれば臭いはまったくしない物件ばかりなのですが、それでも気になる人は気になるといいます。
ですから、どんなに綺麗になっていたとしても物件を内覧いただいたときに少しでもニオイが気になると感じたお客様には、その物件だけでなく事故物件自体をおすすめしないようにしています。経験則ですが、ニオイに慣れることはほとんどないと考えているので。
体液が残る清掃前の事故物件を視察
――佐藤さんは、直接事故物件に足を運ぶことも多いとか。その理由はなんでしょうか?
佐藤:事故物件は特に事故後の状態などを気にされる住居者の方が多いので、自分の目で見ていないと雰囲気や臭いなどを確実に伝えることができません。ですから、なるべく取り扱う物件については事前にチェックするようにしています。
仲介会社を通した物件は、すでにリノベーションが終わって前居者の跡形もないことが多いですね。その一方で、オーナーさんや特殊清掃の業者から紹介してもらった物件のなかには清掃途中のほか、清掃前で亡くなった当時のままの物件もあります。
――印象に残っている物件はありますか?
佐藤:死後1週間経って見つかった孤独死の物件は強烈でした。ご遺体が溶けてしまっていたようで、倒れていた床に人型の染みがくっきりと付いていました。
あとはニオイです。ご遺体がなくなっても腐敗臭はかなり残っていました。それでも、特殊清掃が終わってリノベーションが終わったあとは臭いもすべて取り除かれていました。特殊清掃員の方の技術には頭が下がります。