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上司に「調子どう?」と聞かれたら、どう答える?<上司語のホンネ>

コラム

 日本人は思ったことをストレートに言わず回りくどく表現するが、サラリーマンが使用する表現のまわりくどさは、学生の比ではない。サラリーマンは組織の生き物。組織の論理はあらゆるところに張り巡らされている。

上司

※画像はイメージです(以下同じ)

 サラリーマン上司が発する言葉を、額面通り受け止めてはいけないのは自明の理だ。それは、普通の言葉というより、あなたに何かを伝えようとするサインに近い。

 上司の一言に隠された真意を読み解けばサラリーマン人生は快適なものになり、読み間違えると地獄が待っている。

 好評連載の上司語シリーズ、第5弾。今回もサラリーマン研究所の五島一三氏に、「上司が使う言葉」(上司語)のホンネとタテマエを解説してもらった(以下、五島氏の解説をもとに構成)。

Q1「○○君、調子どう?」」

上司の本音①「○○君、今日は徹夜してもらうぞ」

 いつもはあなたの体調なんて大して気にしない上司が、急にこんな言葉をかけてくることがある。もちろん上司はあなたの体調を気にしているわけではない。そんなことを気にしているのなら、もっと日ごろから、あなたの体調を気遣ってくれるはずだ。

 上司がこの言葉を吐いたら要注意! 上司からこんなふうに尋ねられて「調子悪いです」と答えることができる部下はなかなかいない。大抵は、「まあまあです」などと無難な答えを返すことになる。

 その言葉を聞いた上司は、すかざず「ちょっと、いいかなあ」と言ってあなたを呼び寄せる。そして、2人きりになると、「これ明日の朝までにやってくれないかな」と言いながら、どう考えても今日は帰宅するなといわんばかりの仕事量を振ってくる可能性が高い。

 あなたには、断る口実が見当たらない。まさか今日は体調が悪くて退社後、病院に行く予定なんですとは言えない。そう言わせないために、上司はあらかじめ「調子どう?」と聞いてきたのだ。一見、部下を気遣うように聞こえるこの上司語は、実はコワイ言葉なのだ。

Q2「(遅延証明書を見ながら)計画的に行動しろ」

上司の本音②「遅れるのが分かっているのなら、もっと早く家を出ろ」

上司 交通

 あなたが通勤に使っている路線が遅れて会社に遅刻すると、上司に遅延証明書を渡すことになる。めったに遅れない路線が、たまたま遅れたのであれば上司はこんなことは言わないだろう。

 だが、朝のラッシュ時、頻繁に遅れが出る路線がある。あなたが使っている路線がそんな路線なら、上司はあなたから、一月に何度も遅延証明書を受け取ることになる。上司は、遅延証明書がある手前、あなたの遅刻を直接的に咎めるようなことは言えない。そんな状況で、上司がこの言葉を吐くことがある。

 こんなことを言う上司は、実は相当にあなたに対してイライラしている。会社の部署というものは、朝全員揃っていることを前提に動いているので、ひとつでも歯車が欠ければ、それだけで上司のリズムが狂う。朝のミーティングでみんなに伝えたかったことを話す時、1人でもいない(しかも特定のひとりが頻繁にいない)というのは、上司にとってはストレスなのだ。

 さらに、遅延証明書があるため直接的にあなたを非難できないことが、上司の怒りに油を注いでいる。あなたは悪いのは鉄道会社で、自分ではないと思っているかもしれない。確かにその通りだ。しかし、上司はそんなふうには思っていないということだ。

 あなたが部署内でダントツの成績を上げているスター社員なら、上司の言葉を無視してよいかもしれない。だが、そんなことはないだろう。そもそもスター社員は、計画的に行動しているので遅延証明書など出さないものだ。あなたが、自分は仕事ができるから大丈夫と思っていても、会社というものは、そんなにはあなたを認めていないものだと知るべきだ。サラリーマン社会では、イメージで人を判断することが、多々あるからだ。

 あなたは、上司からこんなことを言われたら、鉄道の遅延を見込んで、早く会社に行くようにするしかない。早朝、誰もいないオフィスで上司と顔を合わせたくなければ、近くの喫茶店でモーニングサービスでも食べていればよい。だが、朝早く会社に行くと他の部署の上司の目にもとまり、ただそれだけであなたの評価は上昇するだろう。

 しかし、行動を改めなければ、上司のあなたに対するイメージはどんどん悪くなり、他の人なら怒られないような些細なミスをで、怒られるようになるだろう。そして、いずれは左遷されるだろう。

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