ゲーム対戦=eスポーツが興行として成立する理由。大手企業も注目
企業がeスポーツに広告予算を投じる方法
――企業がeスポーツに予算を投じようとするときには、具体的にはどういう選択肢があるのですか?
但木:大きく分けると、大会・チーム及び個人・メディアです。大会の場合は、スポンサーとして開催のための費用などを支援して、自社の製品などを露出させる方法です。たとえば「EVO2018」というアメリカ最大級の格闘ゲーム大会では、「グランブルーファンタジー」などで有名な日本のCygamesがスポンサーになりました。
チームの場合は、設備や活動資金を支援することになります。その見返りとして、一般的なスポーツと同じようにeスポーツでもチームのユニフォームがあるので、そこに企業名を載せて自社をアピールするなどの方法があります。
メディアというのは、動画配信プラットフォームのことですね。eスポーツの大会などを放映しているプラットフォームにお金を出して、試合の開始前や合間に自社CMを流せば、視聴者へのアピールになりますよね。
――但木さんに来る企業からの問い合わせは、「広告を出したい」という要望が多いのでしょうか?
但木:もっと前の段階が多いですね。「eスポーツというものが流行っているらしいからちょっと話を聞いてみたい」くらいの状態です。スポーツやインフルエンサーマーケティングとかに予算を割いたこともあるし、ちょっと試しに検討してみようかな、という感じです。
企業はどこにお客さんがいるかわからない
――eスポーツが広告予算を投じる候補として注目され始めているのでしょうか?
但木:昔は、テレビこそが広告の王道だった時代がありました。そのほかにも、広告予算を投じる先としては新聞や雑誌などが主な候補となっていました。ところが、インターネットが普及したことによってその状況が変わっていっています。テレビなどに投じられた広告予算が、徐々にインターネットへと移っていますよね。
インターネットは、テレビのように限られた数のチャンネルを人々が見ているわけではなく、無数のコンテンツが存在しています。つまり人々の関心がさまざまなコンテンツや分野に分散しているんです。企業にとってはアピールすべきお客さんがどこにいるのかわからない状況になっています。
そのなかで、一定数のお客さんが熱量を持って集まっている分野のひとつが、eスポーツです。だからこそテレビなどの大手メディアではリーチできない層へのアピールを目指す企業が、eスポーツに注目し始めているのだと思います。