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転職先は「女性が正社員になれない」会社だった。老舗企業の体質に絶望

学び

正社員と契約者の壁に絶望。すると転機が……

 さらにやりきれなくなるような噂を耳にすることもありました。

「正社員は『六本木で○○万散財した』『中央区のタワマンに住み、スポーツカーを乗り回している』『ボーナスは契約社員の年収くらいの額をもらっている』とか……。寸志しかもらえない私からすると信じられないような話を何度も耳にしました。火のないところに煙は立ちませんから、本当のことなんでしょう」

 正社員と契約社員の壁を目の当たりにし、入社当初のモチベーションを失っていた陽子さんに転機が訪れます。

「転職エージェントをやっていている知人に相談したら、私の職歴を活かせそうな求人を案内してくれたんです。日々の生活で疲れ、通常ルートでの転職になかなか踏み切れなかったので、まさに渡りに船でした。紹介先は女性が代表を務める会社で、面接時に包み隠さず話してみたら、境遇に同情してくれて、とんとん拍子に正規採用となりました」

“中高年が既得権益を必死に守ろうとする姿”はまさに……

男性社員

 現職は男女平等で福利厚生もしっかりしているそうで、忙しくはあるものの日々、充実。いつ契約を切られるか分からずビクビクしながらの生活に終止符を打てたことに、何より満足しているそうです。

「今はもう辞めたからこそ言えますが、中高年が既得権益を必死に守ろうとする姿は、日本社会の縮図のようで哀れにすら感じます……。自分たちはギリギリ逃げ切れる世代だから、何も変えたくないんでしょうね」

 実はまだ前職時代の彼氏と続いているせいか、彼がいるところでは前職のグチを言いにくいというのが唯一の悩みだとか。

「彼も早く見切りをつけて転職してくれたら、思う存分に呪詛を吐けるんですけど(笑)。男性は給料が悪くないので、踏み切れないみたいです」と語る陽子さんのケースでは、自身の置かれた搾取ともいえる状況に気付けていたからこそ、突然訪れた転職というチャンスに乗ることができたのでしょう。

 たとえ日々の業務に追われていても、会社の実態や将来性について冷静に分析する目を持ち続けることが大切なのかもしれませんね。

特集・新入社員がおどろいた「入社後ギャップ」

<取材・文/蒲須坂正男 イラスト/小池祐子(@ikeko322)>

趣味はラジオを聴きながら散歩すること。ローカルな駅でふらっと降りて、口コミやレビューがない店に入るのが好きです

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