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日経「内定辞退」記事が炎上。企業が呆れるモンスター辞退者の実態

学び

 株式会社ディスコが行った2020年卒の就活生にまつわる調査によれば、5月上旬時点で内定率はすでに50%を超えているという。本来、就活の選考解禁は6月1日だが、それより1か月近く早いタイミングで、これだけの学生が内定を得ているのだ。

就活生

※画像はイメージです(以下同じ)

 学生のなかには「いかにして本命外の内定辞退するか」と悩んでいる人もいるだろう。特に6月以降は大手企業の選考も進むため、内定辞退者数が急増する時期でもある。

 リクルート就職みらい研究所が、2019年卒を対象に行った調査では、内定解禁日の6月1日時点で、内定辞退を経験したことがある学生の数は、32.8%(17年卒)→36.5%(18年卒)→43.2%(19年卒)と年々増加している。

日経「内定辞退」の記事が炎上した背景

 そんななか、日経産業新聞の記事「内定辞退の正しい伝え方、『直接会って、まず感謝』を」(5月15日)が炎上した。

 記事では、リクルートで営業経験もある、学習院大学キャリアセンター担当事務長の男性が「自分を選んでくれた企業に感謝の心を持ちましょう」と述べている。さらに、本命以外の企業の内定を辞退する際に、

「メールの送りっぱなしや電話で完結してはダメ。必ずその企業に足を運ぶことが重要」

「内定をくれたことへの感謝を、いの一番に伝えること」

「そもそも入社する可能性がないなら最初から内定を受諾してはいけない。選考途中の企業も含め、優先順位をしっかりつけるように」

 などと、直接会って「内定をくれたことへの感謝」の意を伝えることの大切さを説いている。これに対し、ネットでは「直接会うのが礼儀ではない。むしろ余計な時間とられて困る」「メールでいいと思う。変に時間をとらせないほうがマナーだ」といった批判の声が相次いだ。

 内定辞退をしたい学生と、なんとかしてそれを防ぎたい企業の攻防はどうなっているのか。HRテックを駆使してこれまで1000社以上の人事課題の解決を行ってきた、EDGE株式会社代表取締役の佐原資寛さんに聞いた。

「採用に人手を割けない」企業の懐事情

人事

EDGE株式会社代表取締役の佐原資寛さん

――ここ数年は売り手市場だが、内定辞退に対する企業の認識に変化はあるか?

佐原資寛(以下、佐原):企業側もレピュテーションリスク(企業に対する否定的な評価や評判が広まるリスク)があり、無茶な辞退防止策を取ることが難しい。とはいえ、学生の心境把握をリアルタイムで行わないと、入社直前に辞退されるリスクもあり、「内定辞退防止」にニーズは高く、その中でも学生の心境を可視化することに対してのニーズが高まっている。

 また、採用担当者の数は増えないが採用数を増やしている企業も多く、売り手市場の加速とともに、内定者フォローにおける効率を重視する傾向も強まっており、そうした観点でのテクノロジーの活用にも注目が集まっている。

――内定辞退で企業にどんなデメリットがあるか?

佐原:企業のデメリットとしては、自社が思う優秀な学生に入社してもらえないことが挙げられる。早期に内定を出した学生のほうが、他からも内定をもらい辞退する傾向が強い。しかし、企業側も早期内定の学生のほうが自社にとって優秀であると考えることが多いので、人財の質という面で、早期内定学生に辞退されないに越したことはない。

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