2年で自殺者35人、奴隷扱い…驚くべき世界の「ブラック企業」4社
自殺者が相次いだ中国の「ブラック工場」
日本の大手電機メーカーであるシャープを2016年に買収したり、創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)が、台湾の次期総統選への出馬すると噂されたりするなど注目が集まっているEMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業。その中国製造子会社であるフォックスコンも、従業員が低賃金労働にあえいでいると報じられている。
英紙「デイリーメール」などの2013年当時の報道によれば、ある従業員は24時間連続労働や休憩なしの違法労働が行われていたにもかかわらず、1か月3万円程度の給与しか与えられていなかったという。その数年後には、アップルの新製品「iPhone X」用の部品を、高校生を違法に働かせて製造していたとして問題にもなっている。
およそ10万人超の従業員が住み込みで働く、フォックスコンの工場はまるで1つの都市のようであり、2010年には長時間労働や差別を要因に14名の自殺者が出たことがある。これらの問題に対しては、同社に製造を委託しているアップルやマイクロソフト、任天堂、ソニーなどが改善を求める声明を出している。
しかし、従業員個々人が自殺した理由はいまだによくわかっておらず、真相解明にはほど遠いのが現状だ。数百万人とも言われる中国の工場労働者の労働環境はどうなるのか、超巨大工場に何が起きているのか、今も人々の関心は注がれている。
史上最悪のブラック企業?英国の鶏肉会社
史上最悪のブラック企業としてその悪名をとどろかせたのが、イギリスの鶏肉会社「D.J.ホートン」。「BBC」などが報じたところによると、同社は2009年から2012年の間、借金を抱えて英国にやって来たリトアニア人などの東欧系移民11人を、劣悪な環境に閉じ込め、極めて低賃金で働かせていたという。
労働者の大半は、糞便からのアンモニアガスが発生する鶏小屋で、防護服も与えられず作業し、鳥からのノミが絶えず体を噛んでいるために嘔吐していた。また、宿舎もシラミだらけで風呂や食事のための時間すら与えられず、睡眠時間は移動の車内のみだったという。ある従業員は、睡眠不足のため、歩行中に転倒し、前歯を折ったが、怪我の治療もしてもらえなかった。
夫婦であり、経営者であるダリル・ホートンとジャックリーン・ジャッジは、「史上最悪のギャングマスター(奴隷の元締め)」と呼ばれた。裁判では、同じ会社に対して6人のリトアニア人の別のグループが起こした補償の民事訴訟に続き、1億4300万円(1百万ポンド)以上の支払いが命じられた。
<TEXT/シルバー井荻>