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入社してすぐ辞めた新入社員たちの、言い分と「その後」

学び

「最近の若者は仕事が続かない」と嘆く人が多いようだが、実は、こういった新人はいつの時代にも存在する。

若者

写真はイメージです(以下同じ)

 大卒の新入社員が、1年で仕事を辞めてしまう割合は11.9%で、3年以内に辞める率は31.8%となっている(2018年10月、厚生労働省発表)。なんと、3年以内に3割が退職するといったデータは、20年間前から変化してない。

稼ぎたくて不動産会社に入社したけれど

 大学卒業後、新卒で入社した不動産会社を1か月でバックレた藤代弘一さん(23歳・仮名)は「最近は仕事を辞めやすくなりましたよね。選択肢も多いから躊躇する理由なんてないですし、僕もそのタイプでした」と、自己分析する

「卒業した大学の偏差値が45で、正直、就職の選択肢なんてありませんでした。だから、選ぶ道は限られていて、『誰でも入れるような会社を選ぶ』『高学歴にも負けない一発逆転を目指す』の2択で、僕が選んだのは後者です」(藤代さん、以下同)

 こうして、よく見かける「20代で年収1000万円」との謳い文句を出す不動産企業に照準を絞った。

「面接では、とにかく『稼ぎたい』しか言いませんでした。『根性なら誰にも負けない』、『20代で部長を目指す』と。採用担当者にはやる気を買われたのか、すんなり入社に漕ぎつけることができましたね。正直に言うと、そんなに稼ぎたい欲求はなかったんですが、どうせ働くなら高年収を得て、いい暮らしがしたいなくらいの欲求でした」

 だが、入社してすぐに「失敗だったと感じた」と藤代さんは話す。体育会系の企業風土に馴染めなかったのだ。

毎日のように行われる飲み会に疲弊

テキーラ

「毎日のように部署の飲み会があったんです。親睦会ということで、費用は会社持ちだったんですけど、本当にしんどくて、ダーツやビリヤードで負けたらテキーラ一気しなきゃいけなかったんです。当然、次の日は二日酔い状態で『なんでこんなきついことしなくちゃいけないんだ』と思っていました」

 こうして入社から1か月が経ったGW明け、過酷な環境に疲弊した藤代さんは会社をバックレてしまう。

「上司が怖いから『辞める』なんて言えなくてバックレました。案の定、鬼のようにLINEと電話が来ましたが、すべて無視しました。3日くらいでようやく連絡は途絶えましたね。でも、焦りはまったくなかったんですよ。最初に言ったとおり、選択肢の多い昨今、仕事なんてすぐに決まるだろうと思っていました」

 そんな甘い世界ではないような……と感じてしまうが、なんと、「5月中には転職先が決まった」というから驚く。

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