伝説の風俗ライター・松沢呉一が語る「ウェブマガジンの宿命」
独居老人の幸福論「最後はみんな一人」
配偶者の有無も、結局は大した問題ではない。「配偶者がいても、80代にもなればだいたいどちらかは死んでいる。うまいこと先に死ねない限り、最後はみんな一人になる。確率は50パーセント」と笑う。老後の計画はあるのだろうか?
「一切ない。あと5年で“高齢者”の仲間入りをするけど、その前に死ぬのが理想だと思っているんです。これも人によりけりで、長生きするのが理想の人もいる一方、長生きしないのが理想な人もいる。高齢者にならないことがオレの老後対策。これは若い頃から言っていたことです。遊べなくなったら終わりにしたい。
ヘヴィースモーカーだし、不規則だし、体に悪い食べものが好きだし、運動しないし、健康診断しないしで、条件は揃っている。一人で生きてきたおかげで、一人で死ぬことへの抵抗もないから心の準備は完璧です。なんだかんだ生き続けてしまうのかもしれないけど、その時はその時で何か楽しみを見つけて細々と遊びますよ」
ここ数年は都内約600軒の銭湯をすべて回る「銭湯制覇」や、「都内ヘビ出現ポイント」を探す散歩旅を楽しみのひとつとして暮らしているそうだ。都内の銭湯を巡るきっかけは「日本人男性の何%が股間を手ぬぐいで隠すか調査したかったから」だという。
<取材・文/西谷格 撮影/詠祐真>
【松沢呉一】
1958年生まれ。早稲田大学法学部卒。コラムニスト、編集者、フリーライター、古本蒐集家。会社員として音楽や放送、宣伝関係の仕事に携わるなどしてから、何でもこなせるフリーライターへ。タグマにて「松沢呉一のビバノン・ライフ」を配信中