サービス残業を強要する上司vsそれを無視する社員の仁義なき戦い
5年前や10年前と比べ、サラリーマンの残業時間は大きく減少。
特に悪しき習慣だったサービス残業が劇的に減ったといわれていますが、これはコンプライアンス違反にうるさい大手企業などの話。残念ながら中小企業の場合は、そこまで徹底されていないようです。
現在、第三セクターの開発公社で働く相馬順也さん(仮名・32歳)が一昨年まで勤めていた零細広告代理店もそうしたサービス残業が当たり前の会社だったといいます。
1か月の平均残業時間は80~90時間!
「一応、9時始業の18時終業になっていましたが、21時より前に帰れたのは週1日あるかないか。23時過ぎまで仕事をしている日のほうが多く、疲れすぎてワイシャツ姿のまま寝てしまう日もありました」
ちなみに相馬さんの当時の1か月の平均残業時間は80~90時間。まだ若かったこともあり、「週末、休めば回復できました」と言いますが、これは「36協定」と呼ばれる労働基準法第36条で定める1か月の時間外労働の上限45時間を倍近く超えています。
「しかも、残業手当がつくのは20時間分だけで残りはサビ残。大学時代、大手の広告代理店の内定が取れず、それでも広告の仕事がしたくてその会社に入ったため、モチベーションは高かったんです。だから、最初は会社への不満はなかったですけど、今思えば労働力の搾取もいいところです」
だが、“ある出来事”がきっかけで会社に疑問を感じ、不信感を募らせていきます。
父親が亡くなっても会社を休めたのはたった1日だけ
「突然、父親が亡くなったんです。実家は地方だったこともあり、こういう事情だから明日から一週間休ませてほしいと伝えたんです。
しかし、上司からは『事情は分かったがけど、申し訳ないが認められない』と言われたんです。こういう状況ではさすがに配慮してもらえると思っていたので、怒りを通り越してただただショックでした」
結局、休みは1日しか取れず、告別式に途中から参加しただけ。母親も兄も「仕事が忙しいのだからお前はそっちを頑張れ」と一言も責められなかったのが、余計に心苦しかったといいます。
「しかも、会社からの弔電や供花は一切なし。東京から飛行機の距離なので葬儀に参列しろとはいいませんが、あまりにも常識に欠ける行為ですし、こんな会社のために毎日夜遅くまでサビ残していた自分がバカらしく思いました」