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「お前はクビだ!」副業を理由に社員を解雇できるのか?

コラム

 副業について、前回の記事ではそこで得られるスキル獲得や人脈拡大、収入増加などのメリットについてお話しました。

PCを操作する若い女性

※画像はイメージです

 しかし、同時に気をつけるべきデメリットも存在します。今回は、副業に関連するデメリット・リスクについて説明します。

 私(筆者)は企業ファイナンスを中心としてコンサルティングを提供していますが、そのなかでも最も問い合わせが多い、「副業をしてもクビを切られることはないのか?」という疑問にお答えしたいと思います。

【第4回】副業と懲戒処分について

「副業をしてもクビを切られることはないのか?」という質問に回答するためには、会社はどのような場合に、「懲戒権」を従業員に対して行使することができるかを理解する必要があります。

「懲戒権」を行使するためには、次の条件を満たす必要があります。

1.就業規則に、懲戒処分対象の事由が記載されていること
2.処分内容が就業規則に定められていること
3.行為と処分が均衡していること

 副業を罰するためには、副業が罰則の対象になる旨が明記されていること 及び 罰則の内容が記載されていることが必要です。そして、罰則対象の行為(例:遅刻、無断欠勤、副業など)と、罰則の内容(訓戒、譴責、減給、降格など)のバランスが取れていることも条件となります。

 行為と処分が均衡していることの観点から、単に1度だけ遅刻したからといって、「お前はクビだ!」と、即刻解雇することはできません。

 解雇とは、相当に重大な違反が認められ、さらに、事前に訓戒や譴責(注意や始末書を書かせる)などをしているにも関わらず改善が見込めない場合に対象となることになります。このことから、単に副業をしているだけで、即刻クビということは想定しづらいと考えられます。

そもそも副業はどこまでが禁止対象か?

 では、副業に関して、企業はどこまで従業員に対して制限をかけることができるのでしょうか。

 実は、企業は無制限に副業を禁止することはできません。労働者には、日本国憲法で定められている「職業選択の自由」という権利が認められているため、兼業するかどうかは個人の自由です。過去の判例でも、就業時間外は労働者の自由であるという見解が一般的なため、無条件に就業時間外に行う副業を禁止することはできません。

 それでは各会社の就業規則はどうなっているのでしょうか。

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