三菱・三井・住友「財閥系不動産」“最高益更新”と“減収”で分かれた明暗
テレワークの導入が進んだことで、一時期は都心にあるような大規模オフィスの不要論が散見されました。しかし、三菱・三井・住友といった「財閥系不動産大手」の決算推移をみると、意外にもオフィス需要は堅調で、今後も需要の伸びが期待されます。
また、コロナ禍で戸建てが人気を呼び、戸建て事業を手がける会社は業績を伸ばしました。その一方でマンションはやや軟調なようです。今回の記事では「財閥系不動産大手」3社の決算資料から、コロナ禍で不動産業界がどんな影響を受けたのかを見ていきます。
三井不動産:オフィスから、住宅・駐車場まで…
三井不動産株式会社は不動産業界で売上高トップを誇ります。都心のオフィスビルや商業施設、分譲マンションや戸建て、駐車場など幅広い物件を対象としています。各事業セグメントの内容は次の通りです。
(1)賃貸:自社所有・オーナー所有のオフィスビル賃貸。「ららぽーと」などの商業施設における賃貸。
(2)分譲:マンション・戸建ての分譲。投資家向け物件の賃貸。
(3)マネジメント:オフィスビル、商業施設、駐車場(リパーク事業)の管理業務。
(4)その他:住宅の新築請負やリゾート運営。近年買収した東京ドームシティの運営。
2022/3期は過去最高を更新
決算資料によると、2019/3期から2022/3期の業績推移は次の通りです。全社売上高は伸び続けており、最新2022/3期は過去最高を更新しました。各年の成績について見ていきましょう。
【三井不動産株式会社(2019/3期~2022/3期)】
売上高:1兆8612億円→1兆9056億円→2兆76億円→2兆1009億円
営業利益:2621億円→2806億円→2038億円→2450億円
最終利益:1687億円→1840億円→1296億円→1770億円
売上高(賃貸事業):6033億円→6361億円→6231億円→6682億円
売上高(分譲事業):5308億円→5241億円→7147億円→6439億円
売上高(マネジメント事業):4043億円→4215億円→4029億円→4294億円
売上高(その他事業):3228億円→3240億円→2668億円→3595億円
2020/3期は日本橋髙島屋三井ビルディングや三井アウトレットパーク台中港など、新規オフィス・商業施設の収益が、賃貸事業の増収に貢献しました。一方で、分譲事業は戸建て数の減少もあり軟調に推移しました。マネジメント事業は駐車場の管理物件数が増えたことで増収となりました。