「人生の99%はうまくいかない」元幹部自衛官が明かす、それでも立ち上がる意味
「陸上自衛隊」と聞くと、精神的にも、肉体的にもタフな人物をイメージするかもしれない。その一方で、元幹部自衛官としてエリートを目指して挫折し、現在は紆余曲折しながら生きているのがTwitterフォロワー20万人超えの人気アカウントぱやぱやくん(@paya_paya_kun)だ。
今回、そんなぱやぱやくんの愛とユーモアにあふれた「ますらお(益荒男。本来はりっぱな男、勇気のある強い男の意だが、ここでは「陸上自衛官」を指す)ライフ」から、「心を回復させるメンタルハック」「気持ちを切り替える技術」などを紹介した新刊『自己肯定感低めの元幹部自衛官が教える「心が疲れない54カ条」』(PHP研究所)の一部を再編集して紹介する(以下、同書より抜粋)。
民間企業に比べたら、自衛隊のほうがラク?
通常の物語であれば、私が転職後に大活躍をして「若くしてNo.1マネージャーになれました」という展開になると思います。ところがどっこい、そうはいきません。
民間企業に転職後は自衛官特有の仕草に悩まされることになりました。自衛隊は規律や様式が厳しく決まっている組織であり、明瞭簡潔が良しとされています。丁寧語などを使うと「サラリーマンのような口調で話すな!」と指導を受けるので、口調も独特になります。
私に染みついた独特な口調を抜くために、夜な夜な誰にもつながっていない電話に向かって、話し方の練習をすることになりました。私は自衛官に向いていなかったと思いつつも、骨の髄まで自衛官になっていたので、そのダシが民間企業に染みるようになっていたのです。
世の中の不条理を一身に受けたことも
また自衛隊では「幹部自衛官」という立場でしたが、転職後は民間企業が初めての一兵卒という扱いです。レベル1からのスタートなので、つまずくことだらけでした。まず私が担当していたクライアントは、ITベンチャーから日系大手企業・外資系企業まで幅広くありました。
各企業のカルチャーや風土は全くバラバラであり、コンプライアンスを守る企業もあれば「残業するのは個人の裁量であり、会社の指示ではない」と頑なに残業代を断る企業もありました。自衛隊は法令遵守の精神が非常に強かったので、法令を恣意的に解釈して弱い労働者を守らない企業には驚きを感じました。
また、私が一生懸命時間をかけ、採用をフォローした人が一週間で来なくなったり、不景気から雇用契約が終了した方から「私はもう家のローンが払えないのですが…」と泣かれたこともありました。自衛隊とは違った世の不条理を一身に受けるようなことも多い仕事でした。