副業で自己実現? 地味OLの裏の顔は官能小説家
各企業が副業解禁に踏みきるなか、「お小遣い稼ぎ」から「能力開発」まで実際に副業をするサラリーマンの目的はさまざまです。今回は「自己実現」のために副業を始めたというまりえさん(26歳)に話を聞いてきました。
「本業では新卒で入ったアパレルメーカーで生産管理の仕事をしています。洋服など生産する商品にあわせて工場を手配し、素材の発注をしています。生産ラインの管理からスケジュール調整まですべてを請け負っています」
なかなか大変なお仕事のようです。
「大変です(笑)。ミスが絶対に許されないですからね。納期までに商品がちゃんと納品されるのか、緊張と不安で頻繁にお腹が痛くなることもあります」
副業のモチベーションは「悔しさ」
そんな状況の中で、一体どのような副業をしているのかを聞くと、「小説家です。出版社の担当者さんもついて、まさに現在執筆中です!」。副業の話になった途端、まりえさんの顔がパッと明るくなります。
「大学生の頃から、ずっと小説を書いてはいたんです。ジャンルは恋愛小説で江國香織さんみたいな甘くて切ない気持ちに浸れる小説を書くのが夢でした。でも就職してから忙しくて書くことを完全にあきらめていたんです」
では、なぜ小説を書くことになったのでしょうか。
「広報に行った同期とランチに行ったときに、同期が会社の公式SNSで文章を書いているっていうのを聞いて、見ていたら商品を紹介する短編小説がのっていたんです。どうやら同期がそれを書いているらしくて、それを見たら悔しくて泣けてきたんです」
まりえさんがヒートアップし始めます。
「私は何をしているんだろう」
「小説を書くこともあきらめて、工場や仕入先に頭を下げ続けて、納品前は常にストレスでお腹が痛い状態で仕事をしている自分が情けなくなってきたんです。私は何をしているんだろうって。でも、突然仕事を辞めるわけにもいかないので、とりあえず小説を書こうと思ったんです」
まりえさんは続けます。
「ただ『書く』といってもゴールが見えないので、私は2年間の期日を決めました。2年間はとにかく小説の賞に応募して、なんでもいいから結果を出すことをゴールにしたんです。『1か月に1本、どんな駄作でもいいから書きあげて応募する』と誓いました」