「1日履いても疲れにくい」和洋折衷の雪駄スニーカーを生んだ2人の若手
既存のもの同士を組み合わせることで新しいアイデアが生まれるとよく言われるが、日本の伝統と最新技術を組み合わせることで“ありそうでなかったもの”を世に送り出した会社が東京の下町に存在する。
代表取締役兼クリエイティブディレクターの大西藍氏と、コンセプターの武内賢太氏のコンビが経営するNEWBASIC株式会社(東京・台東区)は、これまで雪駄とスニーカーを組み合わせた「unda-雲駄-」や、切子とダブルウォールグラスを組み合わせた「Fuwan-浮碗-」などを手掛けてきた。会社名より「goyemon(ごゑもん)」というブランド名なら聞いたことがあるという人も多いだろう。
日本の伝統文化にフォーカスし、「日本の伝統や魅力ある製品を、若い世代や世界の方々に知ってもらいたい」という想いのもと事業を展開している両氏に話を聞いた。
伝統産業の衰退に危機感
日本の伝統と最新技術を組み合わせたモノづくりに注力している理由を訊ねると、
「もともと2人とも伝統製品が好きだったんです。技術力の高さはもちろん、ストーリー性のあるものづくりに魅力を感じていました。その一方で伝統産業が衰退していくことにも同時に危機感を覚えていたんです」
と武内氏は言う。大西氏も、
「僕たちがこういった活動を始めた当初は、若い世代で伝統製品を知っている人が少ないと感じました。その若い世代の認知度の低下が衰退している原因ではないかと気づいたんです。そこで伝統製品を最新技術と組み合わせ、現代の暮らしに馴染ませることで、若い世代や海外の人に伝統製品を知ってもらうキッカケを作ろうと思ったことが理由です」
と語ってくれた。
雪駄らしさとスニーカーらしさの共存
「unda-雲駄-」や「Fuwan-浮碗-」など“ありそうでなかったもの”を生み出したアイデアの源泉については、2人は次のように語る。
「普段から雪駄を履いていたのでそこから着想を得たのもあります。長年大きく形を変えてきていないので、アスファルトの上だと疲れやすいなっていう。あとは見た目のインパクトも“ありそうでなかったもの”と思わせるのかもしれません」(武内氏)
「“雪駄らしさ”と“スニーカーらしさ”をどこまで削らずに共存させるかに重点をおいてデザインしました。その結果、両方のイメージが一目でわかるので、見た目でも差別化を図ることができました」(大西氏)
「“Fuwan-浮碗-”でも全く同じことが言えます。外側と内側のグラスの形状を変えることで、見た方に心地の良い違和感を与えています」(武内氏)