一時は利益10倍も…仮想通貨を「自動売買で稼いだ」男の顛末
いまから10年前の2008年。今はなき、スティーブ・ジョブズが考案したiPhoneが日本で発売され、一大ムーブメントを巻き起こした。世界中がiPhoneの魅力に取り憑かれる中、暗号理論に関するメーリングリストに電子通貨ビットコインに関する論文が投稿された。
時はたち、10年後の2018年。10年の時を経て、ビットコインを含む仮想通貨全体の時価総額は約2892億ドル、今もなお多くの資金が流入している。多額の資金が流入するきっかけになったのが、民間企業が提供する仮想通貨の取引所だ。特に、ここ2~3年は仮想通貨やビットコインのキーワードを目にしない日はないといっても過言ではない。
そして、投資で億単位の資産を築いた人を称する「億り人」という言葉が、仮想通貨界隈からも出てくるほど、仮想通貨は一攫千金のビッグドリームとなった。
自動売買プログラムで一攫千金を狙う男
多額の資金流入、拡大する取引所、一攫千金をねらう群衆、さまざまな思惑が渦巻くマネーゲームをのりこなすために、ある方法を実践する斎藤さん(29歳/男性/プログラマー)に話を伺った。
――斎藤さんはいつごろから仮想通貨の投資をはじめられたのですか?
斎藤:2017年からです。きっかけは、仲の良い友人がすすめてきたので、なんとなくやってみました。友人がオススメしてくれたときに、いろんな説明をしてくれたんですが、いまいちピンと来ないのでまずはやってみようと(笑)
――実際に投資してみて、儲かりますか?
斎藤:いや、全然。むしろ今はマイナスですね(笑)。昨年、初めて投資するときに、仮想通貨についていろいろ調べました。わかったことは、日本の取引所だけでなく海外の取引所を使うと手数料が安いとか、どんなコインに投資すればよいかなどです。
僕は、さんざん調べたなかで、その時は将来性のあるコインだと思ったものに投資しました。今思うと、気づいたらいつの頃からか投資がギャンブルになってたんですよねー(笑)。その時に将来性があると思っていたコインは無名の草コインで、一時は投資した金額が10倍以上になったんですが、今はコインチェックの事件もあったのでマイナスです。
――今は勝ってないとおっしゃっていますが、勝っていたときもあると?
斎藤:基本的に利確していないので、含み益って意味では、勝っていたときもありますね。結果、いまは含み損ですが……(苦笑)。初めは日本の取引所で、ビットコインやアルトコインを、20万円分購入しました。
そのコインを海外の取引所に送金し、草コインにやたらめったら投資しました。海外の取引所で投資したひとつのコインが10倍になって、仮想通貨をすすめてくれた友人にもすぐに教えるほどテンションがあがりましたね(笑)。
――スゴい! 早速、利益が出たんですね?
斎藤:ただ、初心者向けの投資本に書いてあるとおり、投資初心者は「売り時が難しい」。10倍になったときは、まだまだあがると思っていたので利確せず……。いまは、コインチェックの事件があったことも含め、チャートを眺めるのも嫌ですね、というか飽きました(笑)。
――なるほど……。仮想通貨に投資するときにいろんなことを調べたとおっしゃっていますが、「これは来る!」というような当たる仮想通貨のパターンはありますか?
斎藤:ないです(笑)。確約はできないですが10倍になったコインに投資した理由はあります。理由は、開発コミュニティが盛り上がっていたからです。ホワイトペーパー(仮想通貨の今後の方向性が示されている目論見書)よりも、実際に開発が進んでいるか、チャットルームが盛り上がっているか、が大事なのかなーと。
僕は、コインを売買して儲けるやり方ではないのですが、知人からスキャルピングのシステムを作ってほしいという依頼がありまして……。どうせなら自分で一度作ってみようと思って、自動売買プログラムを組んでみたのですが、これもすごい儲かったわけではないです(笑)。