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東京で就活する地方学生の悩み「交通費だけで20万円。宿泊費も」

学び

 地方の大学生にとって就活は最大の障壁だ。かねてから面接会場が都心部に集中していたり、情報が少なかったりと、地方と都会の「就活格差」が指摘されてきた。

大学生の就職活動

※画像はイメージです(以下、同じ)

 しかし近年では、Web面接やSNS採用などのネット就活が進み、地方で就活イベントを開催する企業も増えているそうだ。2020年、はたして格差はどこまで解消されたのか。今回、2021卒の現役大学生にその現状を聞いた。

都内で就活をする学生のホンネ

 今回話を聞いたのは、四国の文系大学に通う山口司さん(仮名)。就活をはじめたのは昨年10月、県内のインターンシップに参加したことがきっかけだった。

「最初は営業職を志望していたのですが、行きたい業界が定まらなかったので、色々な業界をみながら就活を進めていました。現在は食品業界をメインに、都心の企業へは2社ほど伺う予定です。説明会から最終面接まで含めると、最低で4回、最高で8回くらい都心へ向かうことになると思います。コロナの関係もあり、まだ行けていないのですが……」

 山口さんの志望企業の中には東京・大阪に面接会場を設けているものもある。やはり地方就活生にとって、これらの移動費・滞在費が就活に大きくのしかかってくる。

「大阪周辺だと、高速バスと電車賃をあわせて交通費1万円未満、東京だとピンキリですが飛行機で平均で5万くらいします。宿泊費は一泊で7000円くらいですね。ただ、説明会や面接を受けてから、数日後に次の面接をする企業は少ないと思うので、選考・説明会の日程が重ならない限りは日帰りすることになります」

交通費は約20万円…苦悩の地方就活

深夜バス

「授業にもできる限り出席したい一方で、僕のアルバイト先は1か月単位でシフトを決めているので、説明会日程を予測してシフトを少なめに申請しなくてはいけません。そうすると、交通費をバイト代で補えなくなってくるんです」

 新卒採用支援事業を手がける「サポーターズ」が行なった就職活動実態調査によれば、地方就活生の就活にかかる平均費用はおよそ19万円に及ぶという。

「交通費に制約があるので、移動できる回数も上限が生まれます。そのため、都心の学生のように『とりあえず説明会に行って雰囲気や話を聞く』ということができないんです。志望企業を確実に決めてから説明会に行かないと、交通費が無駄になってしまうので……。あと、受けることができる会社も必然的に減ってしまうので、“下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”といったこともできません」

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