社員9人で上場した社長が語る「寝たきり状態だった2年間」
2019年12月10日、天気予報専門メディア「tenki.jp」を日本気象協会と共同で運営する株式会社ALiNKインターネットが東証マザーズに新規上場した。
設立7期目、正社員9人で直近の年間売上高は前期よりも56%増額の約7億円。少数精鋭の組織を牽引するのは、池田洋人社長(45歳)だ。
気象予報ビジネスが解禁されてから、約25年。池田社長は、ほとんどのキャリアを業界に身を置き、操業前から誰もが知る複数の気象予報メディアのプランニングを手がけてきた。
ただ、その道のりは平坦ではなく、業界に見切りを付けたこともあったという。インタビューの前半は「天気予報ビジネス全般」について池田社長に伺ったが、後半では2年間の寝たきり生活などを乗り越えて、上場企業の先頭に立つ自身のキャリアに迫った。
天気予報に“そこまで”興味はなかった
――民間の気象予報会社の第一期生で新卒入社。やはり天気マニアだったのですか?
池田洋人(以下、池田):興味はありましたけど、日本気象協会の方々のように天気図だけで、何時間も語れるほど詳しかったわけではありません(笑)。
むしろ、気象予報そのものよりもそれをどう加工し、利用者に届け、利益を生み出すのか。という点に興味がありました。そこで新卒で気象予報ビジネスを展開している会社に入社しました。
――入社後に気象予報士の資格を取得されたとか。業務に良い影響はありましたか?
池田:正直に言うと、直接的な好影響はなかったですね(笑)。気象予報士は入社 3年目に取得し、社内で所持者は私だけでした。当時、気象予報のデータを生かしたソリューションを運送業や小売業に提案していましたが、「気象予報士の資格があるから導入を決めた!」というシーンはなかったです(笑)。
ただ、打ち合わせ時に「高積雲が出ているから雨が降りやすいですよ」という営業トークの裏打ちとしてはかなり役だったと思います。
――かなり順調な新人時代だったと感じます。
池田:そうですね。今、思い返しても楽しかったですし、新しい業界の市場を開拓している実感がありました。ただ、入社から4年目に「くしゃみ」をした際、持病だった椎間板ヘルニアが悪化してしまい動くことができなくなってしまいました。
結局、1年間は寝たきりになり、その後も1年丸々リハビリに費やすことに。とても働き続ける状態ではなく、退社することになったのですが、当時は「経験を積んでこれから」と意気込んでいただけに本当に悔しかったですね。