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脱サラで、得すること・損すること。クレカさえ審査落ちする現実

コラム

「終身雇用崩壊」が叫ばれるなど会社員の将来は一寸先は闇といった状況だ。会社にしがみつこうとする人がいる一方で、一足先に勤め人を卒業した人たちも……。

税金

 bizSPA!世代の20代ビジネスマンからしたら、今の職場に定年退職まで40年超勤務できると考えるのは、夢物語かもしれない。

脱サラ後にこそ使いたい。お得になる「税知識」の話

 脱サラした場合、どのような変化が待ち受けているのか。税理士の大河内薫氏はこう話す。

「最大の変化は社会的信用度ですね。フリーランスになったとたんに、ガタ落ちします。現状は5年連続で1000万円の売り上げがあっても、年収400万円の会社員には信用度では勝てないだろうという状況です」

 不動産契約やクレジットカード入会は会社員時代にしておくのが賢明だという。

大河内薫氏

税理士の大河内薫氏

「すぐに信用度を取り戻すなら、あなた自身が“著名人”になるか、会社を立ち上げて収入を給料としてもらう形にするくらいしかない。ただ、こういった一般的な年収のサラリーマンと、稼げるフリーランスの社会的信用度のアンバランスさは、今後どんどん解消されると思います。終身雇用制度などが破たんし、サラリーマンの信用が下がるからです」

 さらに脱サラ初年次に落とし穴があるという。

「一番の問題は独立初年次の住民税ですね。会社員時代の納税額で請求されるので、知らずにいたら独立後の広告費として蓄えていたものを支払いに回さざるを得ない……なんてことになります。その分のお金は確保しないとダメ」

フリーランス式節税方法とは?

確定申告申請

※画像はイメージです

 こう聞いていると脱サラ後はいばらの道が待っていると思わされるが、意外なところでお得に制度を使う手段もあるという。

「国民健康保険に関しては会社員時代よりお得になる可能性があります。脱サラ後の事業が該当する『国保組合』に加入することで保険料を抑えられる場合があるからです。また、フリーランスなら『小規模企業共済』という制度を利用すれば、自分の将来の退職金を準備できる。毎月自分で設定した金額で積み立てる形になっていて、金利が日本一の高利率(約1~1.5%)のうえ、掛け金はすべて控除対象になります」

 節税といえば、フリーランス最大の課題ともいえるのが確定申告だ。経費の内訳で税務署と意見が食い違うなんてよく聞く話だが、実際のところ経費の線引きはどう考えればいいのか?

「経費については、『あなたの仕事に関係しているか、常識的に考えて正しいかどうか』を税務署が判断します。だからあなた自身が『これは経費である』と税務署にしっかり説明できるのであれば通ることもあり得ます。例えばアマゾンプライムの年会費も『業務用の資材をお急ぎ便で発注した』『資料用として映画を見た』と説明すれば、一部認められる可能性があるんです」

【大河内薫】
税理士。共著『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』が発売中

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